特集

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2018年11月号 no503

建築・設備施工管理CPD制度としてリスタート

寄稿
建築・設備施工管理 CPD制度への期待


国土交通省 大臣官房 官庁営繕部長
住田 浩典

建築・設備施工管理CPD制度と公共建築の品質確保

建築・設備施工管理CPD制度は、建築・設備工事の施工管理に携わる技術者が、建設業に対する様々な社会的要請に応えることができる知識及び技術の向上を図るとともに、このような活動を通して、これらの施工管理に携わる技術者の地位向上を図ることを目的としていると伺っています。本CPD制度を通じた建築・設備工事の施工管理に携わる技術者の知識及び技術の向上は、公共建築の品質確保にとっても極めて重要であると考えています。

公共建築の整備における社会的要請

国民の生活に密着し、国民共有の財産である公共建築は、防災・減災対策の推進、長寿命化の推進、地域社会との連携の推進、環境負荷低減への取組、木材利用の促進等、社会的要請に的確に対応した整備を行う必要があります。
また、公共建築の発注者は、整備を行うにあたって発注者として役割を適切に果たしていくことが求められています。平成29年1月の国土交通省社会資本整備審議会の答申「官公庁施設整備における発注者のあり方について」では、調査・企画から設計、工事に至る過程における発注者の役割を整理するとともに、その役割を適切に果たしていくための方策が示されました。国土交通省では本答申を踏まえ、「公共建築工事の発注者の役割解説書(第一版)」をとりまとめ、国土交通省官庁営繕部、都道府県及び政令市の営繕主管課長が出席する「全国営繕主管課長会議」、「公共建築相談窓口」等を通じ、必要な情報提供、支援等を行っています。
さらに、政府として進めている働き方改革の実現に向け、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」(平成30年7月第1次改訂、建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議)等を踏まえ、適正な工期設定や生産性向上等を進めることが求められています。

建築・設備施工管理CPD制度への期待

こうした社会的要請に応える公共建築を整備するため、その品質確保を図る一貫として、国土交通省官庁営繕部では、平成24年4月より、営繕工事の発注における総合評価落札方式において、配置予定技術者の能力等について、「継続教育(CPD)の取得状況」により加点評価を行っています。一方、平成29年4月から平成30年7月までに官庁営繕部が総合評価落札方式により発注した営繕工事約20件を見ると、入札参加者から「継続教育(CPD)の取得状況」を申請した案件はなく、加点評価に至った事例はありませんでした。今般の「建築・設備施工管理CPD制度」のリスタートを契機として、官庁営繕部としても本加点評価の一層の普及に努めるとともに、入札参加者のより積極的な活用が図られることにより、公共建築の品質向上につながることを期待しています。
結びに、本CPD制度を運用される(一財)建設業振興基金、認定プログラムの実施主体となられるプロバイダーをはじめ、関係各位、各機関のご尽力により、建築・設備工事の施工管理に携わる技術者の皆様の継続教育が推進され、本CPD制度が一層普及・発展することを祈念しております。

インタビュー
CPD参加企業紹介 つくっているのは、元気です


加和太建設株式会社 代表取締役社長
河田 亮一

プログラム審査でやり取りさせて頂いた際に、担当の鈴木さんがとても元気で対応が早かったので、どんな会社かなと思い御社のホームページを拝見させて頂きましたが、地域で活き活きと頑張っている会社だと感じました。幅広い分野で活躍されていますが、会社のモットーなどお伺いできますか。

河田    建設業の魅力をもっと世の中に伝えていきたいということが根源にあり、それをどのようにしたら良いのかを常に考えるところからスタートしています。「世界が注目する元気なまちをつくる」をビジョンに掲げて会社を経営しております。地方の建設会社と聞いたときに、「地方を元気にする産業だ」と思って頂けるようにしたいと思っています。「大社の杜みしま」では、土地を買い取り企画から建設・運営まで自分達でやっていますし、その経験を活かしてチャレンジした道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」ではPFI事業も受注し、単純にものをつくっているということだけでなく、地域を元気にする施設そのものを自ら運営するというところまで領域を広げているところです。これらの事業に試行錯誤しながら取り組んだことで地域の内外から多くの反響を頂き、社員の誇りや新たな方々との出会いなど、色々な広がりができています。

大社の杜みしま

これだけ幅広い事業だと社員の方に様々なスキルが求められると思いますが、その辺りはどのような工夫をされているのでしょうか?

河田    研修にはすごく力を入れています。単純に技術そのものの研修だけではなく、ポータブルスキルを大切にしながら進めております。様々な事業を行っていますので横串の研修も大切にしており、仕事を止めて行っているものもあります。

地方では学ぶ機会は限られると思いますが、三島エリアでは潤沢に講習会がおこなわれているのでしょうか?

河田    この地域での講習会はそれほど多くはありませんが、我々が持っている経験で地元の専門工事業の方々に提供できるものがあればどんどん伝えていこうという姿勢でおります。今はほんの一部ですが、安全に関しての講習会をプロバイダとして申請しています。その領域に限らず、まずは我々の中にしっかり教えていくという仕組みを体系化し、きちんと効果的なものにした後にCPDのプログラムにし、地元の業者さん達にスキルアップのために知見の共有のような事ができればいいと思っています。

これからさらに取り組んでいきたい事を教えてください。

河田    来年も20名程度の新卒者を中心に採用を予定しています。力を入れているのは学び方の改革です。経験工学の世界ではなく、学んで成長していくことが実感できるようなものにしていかないと若い人が育っていかない。学び方の改革をまずは社内で行い、その後は広く他の方達にもCPD等を活用し伝えていきたいと思っています。地域に広げ地域を元気にしていく。建設業の魅力を高め、建設業が地域を元気にする産業だという世界をつくりたいという信念をもち、様々な企業間で成長しあう関係性を築いていきたいと思っています。

(聞き手:建設業振興基金)

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