特集

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2018年6月号 No.499

働き方改革〜時短の実現に向けて〜

1 働き方改革実現会議による長時間労働等の是正

政府は、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月)において、長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながるものであり、長時間労働の是正に向けて背中を押していくことが重要であるとしました。更に、平成28年9月には「働き方改革実現会議」を設置して、時間外労働の上限規制の在り方などについて議論を行うこととし、平成29年3月の第10回「働き方改革実現会議」において、「働き方改革実行計画」を決定しました。実行計画においては、長時間労働の是正に関し、「かつての『モーレツ社員』という考え方自体が否定される日本にしていく。」とした上で、労働基準法を改正し、現行の時間外労働の限度基準に罰則による強制力を持たせるとともに、労使が合意した場合であっても上回ることのできない上限を設定することが示されました。特に、建設業において適用除外となっている時間外労働の限度基準については、5年の猶予期間を設けて上限規制を設けることとしました。(4月6日、今国会の最重要法案と位置づけられている働き方改革関連法案が閣議決定され、国会に提出されました。)

図1  建設業における時間外労働規制の見直しの方向性

2 建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議の設置

前述のとおり、建設業においても将来、時間外労働の罰則付き上限規制が適用される方向となりましたが、この規制の導入に当たっては、個々の建設企業や建設業界全体における生産性向上に向けた取組だけでなく、発注者や国民の理解を得ていくための取組が必要であることから、政府は、省庁横断の会議体として平成29年6月29日に「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」を設置し、建設業の働き方改革を推進していくこととしました。

図2  年間労働時間の推移 

その後、同年8月に開催された第2回関係省庁連絡会議においては、公共・民間を含めたすべての建設工事において、働き方改革に向けた生産性向上や適正な工期設定等が行われることを目的とした「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」が策定されました図3

図3 建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン

ガイドラインでは、受注者は、より一層の生産性向上に向けての取組を推進することと併せて、下請も含め、時間外労働の上限規制に抵触するような長時間労働を行うことのないよう適正な工期での請負契約を締結すること等を求め、発注者には、長時間労働の是正や週休2日の確保など建設業への時間外労働の上限規制の適用に向けた環境整備に配慮した適正な工期での請負契約の締結や工事の手戻り等による長時間労働が生じないよう施工条件等をできるだけ明確にすること等を求めています。
一方、国土交通省の建設産業政策会議では、劇的な進展を遂げるAI、IoTなどのイノベーション、確実に到来する労働力人口の減少といった事態を正面から受け止め、10年後においても建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持できるよう、法制度はじめ建設業関連制度の基本的な枠組みについて有識者による検討を行いました。同会議は、平成29年7月に、「建設産業政策2017+10〜若い人たちに明日の建設産業を語ろう〜」を取り纏め、ここで「業界内外の連携による働き方改革」の必要性を強調し、具体的に次の施策を進めることとしました。

建設業従事者の継続的な処遇改善(賃金等)
● 技能労働者の能力評価基準の策定と技能・経験に応じた処遇の実現(建設キャリアアップシステムの活用)

適切な工期設定、週休2日に向けた環境整備
● 工期設定等に関する受発注者双方の責務の明確化、無理な工期設定を求める発注者への働きかけ
● 適切な工期設定等のためのガイドラインの策定

働く人を大切にする業界・企業であることを見える化
● 専門工事企業の評価制度の創設
● 技能労働者の位置づけの明確化(建設企業が雇用する技能労働者の育成の責務等)
● 許可に際しての労働者福祉の観点の強化
● 人材育成体制の強化

3 「建設業働き方改革加速化プログラム」の策定

国土交通省は、建設業における週休2日の確保をはじめとした働き方改革を更に加速させるため、長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上の3つの分野における新たな施策をパッケージとした「建設業働き方改革加速化プログラム」を平成30年3月20日に公表しました。更に、石井国土交通大臣より建設業団体に対し、プログラムが官民の具体的な行動や成果に繋がるよう、1)週休2日の確保等長時間労働の是正、2)技能と経験にふさわしい処遇(給与)と社会保険加入の徹底に向けた環境整備、3)ICTの活用等による生産性の向上、等について業界の対応を要請しました。
プログラムでは、長時間労働の是正のため、国土交通省直轄工事における週休2日対象工事を平成30年度から大幅に拡大することとし、併せて休日の増加に伴う現場経費の増加や現場技能者の総収入の減少といった問題に対しては、補正係数による必要経費を計上することとしました図4。週休2日制については、直轄工事が先導することによって、地方自治体の発注工事や民間工事も含めた建設業全体に普及拡大していくことが期待されています。

図4 週休2日工事の拡大

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