働き方改革の定着に向けて
働き方改革の定着に向けて
2022年7・8月号 No.540
労使トラブル
1.最近の労使トラブル傾向
昨今のインターネットの普及により、誰もが簡単に労働法に関する情報を入手することができるようになりました。最近では日給者の職人から法定労働時間を超えた分の割増賃金請求が増えています。
2.賃金請求権の消滅時効が2年から5年に(当面の間は3年)!!
賃金請求権の消滅時効について、今までは労働基準法第115条において、2年の消滅時効が定められていました。2020年4月1日の改正により、消滅時効期間を5年としつつ「当面の間は3年」と猶予期間が設けられました。
3.残業代の計算方法について
法定労働時間を超えて働いた場合、残業代、いわゆる割増賃金の支払いが必要になります。割増率は法律で決まっています。
割増率 | |
法定労働時間(1日8時間・1週40時間) | 25%以上 |
法定休日(原則週1日) | 35%以上 |
深夜時間(22時~5時) | 25%以上 |
■割増賃金の計算方法
1時間あたりの賃金額(※1) × 時間外労働の労働時間数 × 割増率 |
※1
時給…その金額
日給…日給額÷1日の所定労働時間数
月給…月給額(※2)÷1ケ月の平均所定労働時間数
※2
月給額とは、基本給だけでなく賃金として支払われるすべての手当も含みます。ただし、法規上除外賃金として、計算に含めなくていい手当が決まっています。
除外賃金…家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ケ月を超える期間ごとに支払われる賃金
①17時~17時30分
法定労働時間(1日8時間)内の残業なので、割増賃金は不要です。
②17時30分~22時
法定労働時間(1日8時間)を超えた残業になるため、25%以上の割増賃金が必要です。
③22時~24時
法定労働時間(1日8時間)を超えた残業と、深夜残業(22時~5時)が重なるため、25%+25%=50%以上の割増賃金が必要です。
まとめ
丸山社長
- なるほど。きちんとした労務管理をしていないとトラブルに巻き込まれる可能性もあるってことですね。
櫻井先生
- そうなんです。適正な管理をしていないとトラブルの可能性はでてきますね。そしてトラブルが起これば、一生懸命やっている方のモチベーションも下がってしまいます。
鈴木課長
- ということは、日々の労働時間管理も重要ってことですね。
櫻井先生
- そうなんです!! 適切な労働時間管理と適切な労務管理は従業員の方が安心して働くための第一歩です。
木村くん
- 社長、うちもいい会社になってるってことですね!!
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