FRONTIER

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2023年10月号 No.552

「現場を見て、人を見る」若手たちの“得意”を伸ばし、ともに地域の暮らしを守る“力”となる!

とどろき 和明かずあきさん
株式会社
フクザワコーポレーション
長野県出身

現場に携わる若手たちの動きに目を配り、ときには明るく声をかけ、ときには丁寧に指導し、小まめにコミュニケーションを図りながら着実に工程を進めていく──活気ある橋梁工事の現場を巧みにコントロールするのは、現場管理を担う株式会社フクザワコーポレーションの轟和明さん。工事課長を務め、各現場への作業員の配置を管理する立場でもある。「担い手不足が叫ばれる建設業界の中で、フクザワコーポレーションはありがたいことに若手が多く在籍しています。一人ひとりが何を得意とし、何を苦手としているのかを把握するには、常日頃から注意深く“現場を見て、人を見る”こと。それぞれの能力に見合った配置はもちろん大切ですが、その人が作業を通して得意な面を伸ばしていけるような配置を第一に心がけています」。

「地域住民の方の生活を守るという使命が、自身のやりがいになっている」と語るように、砂防堰堤や法面工事、道路改良工事など、暮らしを守る様々な工事に携わってきた轟さん。特別豪雪地帯でもある地域の除雪作業も担う“なくてはならない存在”であり、災害復旧工事においても活躍してきた。

2019年10月の台風19号災害の復旧工事は、今も印象深い仕事の一つだ。「早朝に応援要請があり、まだ薄暗い中で現場へ向かったのですが、その被害を目の当たりにしたときには自然がもたらす脅威に驚かされました。重機を現場に搬入したり、24時間交代制の人員配置の準備に追われたり…昼夜を徹した応急復旧工事はまさに手探り状態でしたが、住民の方々のために一刻も早くという想いで作業をさせていただきました」。こうした予期せぬ事態の中で大切になるのが、経験値に基づく判断力と、自然を活かすという考え方だという。「堤防が決壊しているならば、どのように早急に水をせき止めるか。土砂を積み上げたり、コンクリートのブロックを入れていくなど、その場に応じた速やかな判断が求められます。そしてもう1つ大切なのが、以前いっしょに働いていた先輩が仰っていた“自然に逆らってはダメ、自然を有効に利用しなければ”という考えです。私たちが携わる建設業は、ほぼ全て自然を相手にする仕事。大きな力に打ち勝とうとするよりも、その力をうまく活かすことが、非常時においても普段の工事においても重要です」。

「ものづくりが好きで、こどもの頃はプラモデル作りなどしていましたが、今はその何千倍ものスケールでものづくりができるうえ、それが社会の役に立ってくれる。まさに建設業の醍醐味ですね」と微笑む轟さん。「私も入社して数年は“仕事が楽しくない…”と感じる時期がありましたが、たとえ小さな業務でも周りから任されてみると、充実感や達成感を覚え、仕事が楽しくなっていったものです。若手にもそうした経験を通して、楽しさ・面白さを感じてもらえたらと思います」。自身の向上心も、いまだ衰える気配はない。「土木には様々な工種があり、工事も一つとして同じものはありません。この歳だから…と投げてしまわず、新しい知識を身につけながら、今までにない領域にチャレンジしたいです。同時に、次世代の方への技術・技能の伝達も図っていきたいと思います」。


株式会社フクザワコーポレーション
常務取締役 仙石 雄一 氏

この度、担い手育成への取り組みをご評価いただき、国土交通省〈第1回建設人材育成優良企業表彰〉『不動産・建設経済局長賞』を賜りましたことは、ひとえに皆様のご指導あってのことと心よりお礼申し上げます。近年増加している災害への対応など、建設業の役割を永続的に果たすためには、特に若い世代の担い手を確保し、全社員が「相互扶助」の精神を持って働いていくことが重要と考えています。担い手確保の活動を推進することで、若手の方の地域からの流出を防ぐとともに、安心して地域で活躍できる場を創ることで、地域が活性化することを望んでいます。

建設人材育成優良企業表彰『不動産・建設経済局長賞』を受賞

 

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