FOCUS

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2021年7・8月 No.530

第三者の「声」こそ、自身も生徒も向上させる!

進学・就職した生徒たちが取り残されないために…

授業内容の向上のために反映しているのは、生徒の声だけではない。建設業界で活躍している学生時代の友人の声は、宮﨑先生にとって生徒の“学びのゴール設定”のためになくてならないものだという。

「大学の教壇に立っている友人には、大学ではCADを使ってどの程度の図面を描かせているのかなど、大学の講義内容を教えてもらうことがあります。大学で学ぶために必要なスキルを知っていれば、高校卒業時までにどの程度の図面の読み書きができるようになっていればいいのかを逆算することができます。そうすることで、進学した時に生徒たちが苦労しないように、高校時代に習得しておくべきことを目標として設定できると考えています」

また、地域企業との連携や産学官連携での取り組みから得るものは、生徒たちの将来のためにはとても有益だと宮﨑先生はいう。

「実社会での仕事を間近で見ることで、普段やっている学校の勉強が、どんな風に役立っているのかを垣間見ることができます。現場を指揮する監督は誰かの指示を待つのではなく、例えば最新技術のことなどを自分で理解していなければなりません。そのためには、多少は専門書を理解する読解力が必要になります。子どもたちの中には、計算や読み書きが苦手な生徒もいますが、現場で働く人たちの姿を見て、話を聞くことで、理解する力の必要性を実感するきっかけにしたいと思っています」

2年の専門学科では地域企業を招いて最新技術を学んだ

生徒たちの声をフィードバックすることで、よりわかりやすい授業を目指す宮﨑先生

「ここがわからない…」と悩む声に丁寧に寄り添い、一人ひとりの着実な向上をサポート

教員としての姿勢の礎になった祖母や恩師の言葉とは

生徒の声や業界で活躍する友人の声などを常に聞き入れ、自らの行動を向上させようとする姿が印象的な宮﨑先生に教育者としてのモットーを問うと、「人に言う前に、まずは自分の行動を確かめる」という答えが返ってきた。

「これは、祖母から小さい時によく言われていた言葉です。教員は人前に立つ仕事ですからね。例えば生徒に対して身だしなみだったり、時間を守ることだったりを指摘する時には、自分はちゃんと服装が整っているのか、時間は守れているのか確認をします」

祖母の教えを守り行動を律してきた宮﨑先生は、中学生の頃から教員になることをイメージしていた。そこに、担任の先生の一言が宮﨑先生の将来に大きな影響を与えた。

「高校進学の相談をしているときに、将来教員になりたいことを伝えると『向いてるよ』と背中を押してくれたんですね。しかも、私が順調に教員になれば、当時まだ小さかった担任の先生の子どもを私が受け持つかもしれない。『その時にはよろしくな』って言われたことが、とてもうれしくて今でもはっきり覚えています。その先生には、教員採用試験の時にも力をいただきました。採用試験は倍率も高いので、後ろ向きになっていた時期に、『お前はいいところをたくさん持っているのだから、伝わるはずだ。思いっきりぶつけて来い』と言われて、肩に入った力が緩むような思いがしました。言葉って人を勇気づけるんだなと、改めて感じたものです」

言葉の力を実感している宮﨑先生は、これからどんな言葉で生徒に勇気を与えていくのだろう。

 

関越トンネル

群馬県と新潟県を結ぶ、山岳トンネルの代表格「関越トンネル」。初めて通過したのは小学6年生の頃。臨海学校で新潟に向かうバスの車窓に流れる、アニメで見るタイムマシンかのごとき景色に車内は大盛り上がり。今でも鮮明な記憶として残っています。

群馬県立前橋工業高等学校

〒371-0006 群馬県前橋市石関町137番地1
WEB: http://www.nc.maeko-hs.gsn.ed.jp/

 

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