FOCUS
教師も戸惑う困難さを極めた卒業制作 学んだのは困難な状況に立ち向かう姿勢
資格取得の学びから培った困難な状況を諦めない力
「サイを救おうキャンペーン」で生徒たちが見せた、困難にもめげない粘り腰の姿勢。これはどのように身につけたのだろうか。その理由のひとつに、同校が積極的に取り組んでいる資格取得の学習が挙げられる。
「当校では、2級土木施工管理技士検定試験や危険物取扱者試験、測量士補の取得のために、勉強会を開くなど積極的に取り組んでいます。このときに生徒たちに伝えていることは、資格を取ることも重要だけど、その過程が何よりも重要だということです。以前、私が指導していた危険物取扱者試験の合格率が100%をずっとキープしていました。この調子で、クラス全員受験合格を目指したところ、合格率はガタ落ち。その経験から、教えるテクニックではなく、生徒のやる気が第一なのだと改めて気づかされました」
生徒のやる気を引き出すために櫻井先生がしていることは、最初になぜ資格が必要なのかを生徒が納得するまで説明し、努力する大切さをしっかり指導することだという。
「測量士補の問題は見ただけで難しいので、『こんなのできない』と最初は思います。しかしやっていくうちにほとんどの生徒が計算問題をできるようになる。そうやって自信を積み重ねて、自分もできるんだと思えることが大事です。困難なことにぶつかっても、『あの時に頑張ったからあの時のようにすればまたできる!』という気持ちがあれば、社会で何かぶつかってもうまく乗り越えられるのではないかと思っています。資格取得のための学びを通して、最後まで頑張れる人間になってほしいなと思います」
他の土木科の先生たちも普段から何気なく生徒へ声をかけ、やる気を促進。先生たちの想いを受け取り、生徒のみんなも前向きにそして積極的に勉強に取り組んでいる。
「部活動が終わった後に勉強会を開いていますが、みんな集中しています。中にはOBが仕事で必要になったからと飛び入り参加するなど、大人も一緒になって勉強したこともありました。企業から来て一緒に学ぶ大人の姿を見ることで、資格の必要性を実感できているのではないかと思います」
近隣中学校でのグラウンドライン制作の様子(左)とものづくり大会準備の様子(右)。活動を通し、学んできた技術が社会に認められることで自信をつけ、次第に積極性が増してきたと櫻井先生
コロナ禍で導入したYouTube授業視聴200回で逆転授業の可能性
昨今のコロナ禍を受け、同校では早々にYouTube授業へ移行した。ゼロからのスタートで大変なこともあった。しかし、新たな学びの可能性の方がはるかに多かったと櫻井先生。
「YouTube授業は何度も繰り返し見ることができます。製図の授業を例に挙げると、30人のクラスで200回視聴されている。繰り返し見ながら、勉強しているのはいいことだなと感じています。この姿勢があれば、資格試験対策も逆転授業の手法を活用できそうです。勉強会の内容をYouTubeにアップし、生徒たちは自宅で学習を進める。繰り返し視聴した上で、分からない部分は質問に来るという逆転授業方式は効率的かつ有効だと思います。
「勝負脳の鍛え方」 「成功の教科書」
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