FOCUS

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2019年6月号 No.509

“土木”に対する興味喚起を第一に身近な話題・ニュースを授業で活用

生徒の積極性を促すために身近なものから興味喚起

■ ■ 現場見学を学びの場としてどのように活用していますか?

本校では毎年、3年生のときに1泊2日の黒部ダム見学を実施しています。過去につくられた遺産的価値が高い建造物に触れることは、とても有意義なこと。事前学習を行ってから訪れ、現場では「こういうふうに造られたんだよ」「当時の器械はどういうものを使っていたんだよ」など説明しています。またタイミングがいいことに、群馬県には今建設途中の八ッ場ダムがあり、群馬県県土整備部からの招待で現場見学ができます。学年によっては課題研究の授業で、黒部ダムと八ッ場ダムを比較して「昔と今」をテーマに研究発表を行い、先人たちの技術と今の最新技術を学んでいます。学校で行う土木の学びは、どうしても資料や写真など机上のものになりがちです。もっと身近なものに感じてもらうためにも、仮設のものや建設過程を見る機会はとても貴重で大切だと思います。 

黒部ダム見学では、スケールの大きな建造物に生徒たちの感動もMAX

■ ■  授業の進め方で気を配っていることはありますか?

身近なニュースなどを用いながら授業を始めることもあります。雑談の延長線で授業に入っていくのですが、たまには話が脱線したままのときも(笑)。最近では、ノートルダム大聖堂の火災も話題にしました。「ノートルダム大聖堂は世界遺産だけど、土木遺産というものもあるんだよ。群馬県内にどんなものがあるか知ってるかい?」という話から、インフラや社会基盤の授業に入っていく……といった感じです。教科書をじっと見る授業というよりは、「外の屋根を見てごらん」「あそこにクレーンが立ってるよね」など、窓の外を眺めることも多い。生徒たちの興味と理解を促すためにも、「なるべく身近なところから話を広げていく」ということを心がけています。

土木科で学んで良かったと、「高工」卒であることを誇りに!

■ ■ 生徒たちにはどのような想いで接していますか?

社会人としての基本的なマナーや、入職後に必要な建設業の基礎知識などは、できる限り教えてから卒業させたいですね。教科書にはないようなことでも、現場に出れば一般常識だと言われるようなことは身に付けさせたいなと思います。たとえば、大工道具を使うことが少なくなった今、釘を打てない生徒も少なくありません。測量とか土木の学びとは直接関係ありませんが、建設業へ入職すればできて当然のこと。細かなことではありますが、課題研究の中で木工をするなど少しでも体験する場を作っています。また、器具や器械を使う実技・実習では厳しく指導しています。これは、実際の現場を意識してのことです。現場に出たときに器械をおざなりに取り扱い、万が一壊してしまったら「何を勉強してきたんだ」と怒られてしまうので、丁寧にものを扱うことは徹底しています。かつ、自分がやっている作業の意味をしっかり考えることの大切さを伝えています。本校での学びが社会に出たときに役に立ち、「高工を卒業して良かった!」と自慢できるような学校にしたいと思います。

器具の使い方はもちろん、取り扱い方も丁寧に指導

取材のこの日、測量実習を行った2年生。実習は教員の目が行き届くよう、1クラスを3グループに分割して行っている

群馬県立高崎工業高等学校

〒370-0046 群馬県高崎市江木町700
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