FOCUS

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2024年10月号 No.562

地域の想いに応えることが、生徒のさらなる学びの機会に。3DCADや3Dプリンタを駆使して、未来を担う力を育む!

地域貢献とともに
生徒の力を育む

地域に開かれた学校として、積極的に地域貢献活動に取り組んできた同校。毎年夏に開催される地域のお祭り『大野みんなのまつり』では建築科も催しに参加し、“宮工ブース”と題したブースを出展している。

「6月のお祭り本番に向けて、4月頃に地域の商工会の皆さまに生徒自らプレゼンテーションを行います。その際には“こういうものを作りたい”といった形を、3Dモデルをもとに提案します。製作にあたっては、中国地方で唯一導入されているミマキフルカラー3Dプリンタを活用し、3Dモデルを出力。具体的な完成像を見すえて実寸での製作を進めるなど、地域貢献活動を通して3DCADや3Dプリンタを活用した先進的な取り組みを体験することができています」。

また課題研究として、宮島に受け継がれている町家の縮小模型の製作にも取り組んでいる。これは宮島の町家の一棟をモデルとして実測調査をし、3DCADをもとに100分の1スケールで形にするものだ。

「“重要伝統建造物群保存地区に認定された宮島町家通りの町並みを多くの人に知ってもらいたい”という、廿日市市経営企画部宮島企画調整課の皆さまの想いもあり、取り組みを通して地域貢献ができたらと思っています。加えて、広島工業大学で町家の耐震を計測されている研究室とも連携し、耐震性という点にも着目しながら地域の財産として保存していけるような活動にも取り組んでいます」。

 

生徒に明るい未来を示せる
大人でありたい!

教員を志したのは高校生の頃。高校3年生の時の担任の先生が教壇に立つ姿に憧れを抱いたことがきっかけだった。

「高校生というのは、社会に出る直前の大事な時期。そこで出会う私たち教員の存在が、彼らの将来に大きな影響を与えます。生徒には、明るい未来を示せる大人でありたいと考えています」。

3DCADや3Dプリンタといった先進機器・技術を使った実践的な授業を意識している岡原先生。先生自身が大学に進学してから“こんなことを高校生のときに勉強しておきたかった”と感じたことを授業の中に取り入れている。

「私が高校生の頃は“ひたすら図面を描いて覚える”というやり方でしたが、自分が今何を学んでいるのかを生徒自身がしっかりと認識しつつ勉強することが重要だと感じています。また、特に今の生徒たちが学びを深めるためには、ものづくりの楽しさを感じることが大切。今後は、例えばVR(仮想現実)の中で設計図面を実物大で体験するなど、アトラクション的な取り組みもできないかと計画中です。そうした体験を経て、生徒がさらに建築好きになってくれたら嬉しいですね。その一方で、苦手なことにも粘り強く取り組む姿勢を高校生のうちに身につけてくれたらと思います。“塵も積もれば山となる”という言葉のとおり、自分を成長させようと日々頑張り続けてほしいです」。

教員として、喜びを実感する瞬間についても伺った。

「自分が受け持っていた卒業生が、仕事終わりや里帰りなどの際に訪ねてきてくれることがあります。社会に出てからも母校や私のことを覚えていてくれることは、本当に嬉しく誇らしいことです」。

今後はメディアを通じて宮島工業高校の取り組みを広く発信し、さらに多くの人に建築科の魅力を伝えていきたいと抱負を語ってくれた。

 


顧問を務める建築部は、第10回高校生の『建築甲子園』でベスト8に進出。「建築部では、地域のこどもたちをその地域全体で育み、成長を見守る環境づくりを表現した地区センターを提案しました。フィールドワークをしっかりとやれたこと、そして生徒も私も熱意をもって取り組めたことが良い結果につながったのかなと感じています」

 


教育情報部主任としてYouTubeを活用した情報発信にも力を入れている岡原先生。「アーカイブ的に見られる・発信できることがYouTubeの強み。動画の視聴回数などを見ても、チャンネル登録者以上に多くの人に視聴していただいているのがわかります。特別授業や本校の雰囲気、部活動の様子など、いろいろな面を見てもらえたらと思います」

 

町家通り(広島・宮島)

嚴島神社への参道の一つである町家通り。宮島が最も華やいだ時代のメインストリートであり、当時は本町筋と呼ばれていました。「五重塔を挟んで西と東とに分かれる通りなのですが、伝統的な町家建築とともに、モルタル塗りの壁やアルミ製の格子などの近代的な景観が同居する魅力的な町並みが続いています。宮島にお越しの際は、ぜひ目にしていただきたいです」

 

 

広島県立宮島工業高等学校

〒739-0425 広島県廿日市市物見西二丁目6番1号
WEB:https://www.miyajima-th.hiroshima-c.ed.jp/

 

◎本誌記事の無断転載を固く禁じます。

 

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