FOCUS
地域の想いに応えることが、生徒のさらなる学びの機会に。3DCADや3Dプリンタを駆使して、未来を担う力を育む!
日本三景の一つとして親しまれる“安芸の宮島”を対岸に望む、風光明媚な自然に恵まれた広島県立宮島工業高等学校。創立から61周年を迎えた同校では、以前より積極的に地域貢献に携わるとともに、取り組みを通して生徒の資質・能力を育成し、広島県内を中心に各方面で活躍する人材を輩出しています。建築科で教鞭をとる岡原賢三先生も、そんな同校の卒業生の一人。母校の生徒たちと日々接し、どのような想いを胸に建築教育に取り組まれているのかを伺いました。
実践と体験を通して育む
建築スキル
地域と密に連携しながら、実践的な教育を行っている同校。特に注目すべきは、毎年10月から11月にかけて実施される外部講師を招いた特別授業だ。
「特別授業は、普段の授業では経験できないような実習を本校の敷地内で体験できる取り組み。例えばALCパネルの取り付けや屋根板金工事、ガラスの取り付け工事などが実際の建設現場に近い形で行われ、生徒にとって建設業のリアルを感じる貴重な機会となっています。ただ座学で知識を身につけるだけでなく、本物を見る、肌で感じる、そして実際に手を動かすといった体験を通じて、建設業の魅力や奥深さを理解してもらうのが狙いです」。
こうした取り組みを経てインターンシップや現場見学会に参加し、さらに実践的な経験を積み重ねる。この一連の流れにより、生徒たちは将来の進路を見定めていく。
「本校では、建築科・インテリア科の生徒を一括募集するため、実際に専門的な建築の学びが始まるのは2年生から。他校と比べると少し遅めですが、その分、特別授業やインターンシップで本物に触れる機会を多く設け、就職や進路選択でのミスマッチを防ぎたいと考えています」。
技能職を目指す生徒が多いことも同校の特徴の一つだ。
「在学中には国家技能検定の建築大工3級・2級、建築CAD検定3級・2級、2級建築施工管理技士補の取得を目指すことができ、資格取得に向けた補習にも力を入れています。また、3DCADを用いたものづくりやプレゼンテーションなどにも高校生のうちから取り組めるなど、就職先・進学先で役立つ建築スキルを身につけることができています」。