FOCUS

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2022年6月 No.539

多彩な学びと経験、出会いや繋がりが、心を大きく成長させる!

新しい学びや技術の取得にも挑戦し、
自身の知見を共有

生徒に日頃から向き合う立場として、常に新しいことを取り入れていきたいと話す喜多先生。たとえば先生の持つ小型車両系建設機械や小型移動式クレーンといった資格も、教職に就いた後に新たに取得したものだそう。

「生徒だけでなく私自身も土木系の資格取得に取り組むことで、『こんな勉強をすれば資格が取りやすかった』とか『こんな勉強方法が分かりやすかった』といった経験を交えた助言ができ、生徒の将来にも活かすことができます。今取り組んでみたいと考えているのは、活躍が広がっているドローン測量。現場ではどのようなドローンが用いられているのか、どのように操作するものなのか…そうした知識や経験があるだけでも、生徒たちの自信に繋がります。最新の土木技術をできる限り生徒に伝えるため、私自身も常に新しい学びや技術の取得に挑戦していきたいです」

あわせて生徒とともに取り組む課題研究、顧問を務める土木研究部の活動にも積極的だ。

「同好会を経て3年前にスタートした土木研究部ですが、8月に行われるコンクリートカヌー大会や測量大会の出場に向けて生徒たちも熱意を持って取り組んでいます。もちろん大会で優勝するという目的を持つことも重要なのですが、なによりも大切なのは、その過程でさまざまな技術を学べること、そして多くの失敗を体感・体験することで、生徒自身の視野が広がっていくことだと思います。“この方法ではダメだった、では次はこうしようか”と、みんなが一丸となって意見や考えを出しあえる環境こそ私が理想としている在り方です」

卒業生とも交流し、繋がりを持っておきたいと話す喜多先生。
「今現場で活躍しているOBたちのほうが、私たち教員よりもさらに現場に近い新鮮な情報や知識を持っています。
先輩たちの声、先輩たちの様子を生徒たちに伝えてあげることも、私たちの大切な仕事の一つです」

悩みや迷いの経験も
仕事の歓びへと繋がっていく

3年生を担任する喜多先生。就職・進学と、自身の進む道に悩みや迷いを抱く生徒たちに対しては、日頃から「出会いや繋がり、縁といったものも大切にするとよい」と、喜多先生自身の経験も踏まえてアドバイスしている。

「じつは私自身、学生当時に目指していたのは数学の教員でした。ただ、それを目指す過程で工業高校の教員免許も取得できたため、どちらの道に進むべきかを迷ったことも。そうした中で知人から『この機会を縁と考えて、工業高校で教えてみては?』とアドバイスを受け、まずはやってみようという思いから現在の道に進みました。生徒たちと10年関わる中で、その選択は決して間違いではなかったと確信しています。分からなかったことが分かるようになる、できなかったことができるようになるなど、目の前の生徒が成長する瞬間に出会うたび、心から教員としての歓びを感じることができます。そうした毎日を送れるのも、工業高校の教員免許取得というきっかけや、アドバイスをくれた人との縁、本校への縁があったからこそ。生徒に対しても、出会いや繋がりを大切にすること、そして近道だけが正解ではなく、ゆっくり歩いたり回り道をすることで、客観的に自分の立ち位置を見つめることも大事であることを覚えておいてもらえたらと思います」

進学を選ぶ生徒たちも増えてきたが、卒業生の多くは企業への就職や家業を後継する道へと進んでいる。
「本校を卒業したらすぐに就職という子にとっては、ここが社会に出る前の最後の学び舎になります。ここでしか教えられないこと、社会人としての基礎、私が今まで学んできたことなど、伝えられることはできる限りたくさん伝えていきたいですね」

課題研究の一環として、校内の修繕検討箇所をチェック。
「たとえば自動販売機に雨よけを設ける場合でも、加工のしやすい木を使うか、丈夫な鉄を用いるかなど材料や手法も様々。
“土木だからこの素材・この方法”といった固定観念にとらわれず、いろいろな選択肢を見出してほしい」と、生徒自らが考える姿勢を重視する

 

京奈和自動車道

喜多先生が選んだ地元の土木建造物は、京都・奈良・和歌山を繋ぐ京奈和自動車道。写真は建設工事の見学時に収めた一枚です。「本校に赴任して最初に見学に伺ったのが、京奈和自動車道の建設現場でした。こんなにきれいな道路ができるんだ、という驚きもあり、強く印象に残っています」

 

 

 

奈良県立御所実業高等学校

〒639-2247 奈良県御所市玉出300番地
WEB:  http://www.e-net.nara.jp/hs/gosejitsugyo/

 

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