特集

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2021年11月 No.533

建築・設備施工管理CPD制度の取組~経営事項審査を通じて~

建築・設備施工管理CPD制度を取り巻く状況と今後への期待

 

東洋大学 理工学部 建築学科 教授
建築・設備施工管理CPD制度運営委員会委員長
浦江 真人

 

建築・設備施工管理CPD制度を取り巻く状況

平成26年に建築施工管理技術者のCPD制度を立ち上げ、平成30年には設備施工管理技術者を加え、登録者数は現在1万6000人を超える規模に至っています。

建築・設備の施工に係る技術者・プログラムを対象としていることから、各地の建設業団体・技士会等による講習会と合わせ、企業による社内研修が充実していることが伺えます。

また、設備施工管理技術者の参加が始まってから、電気工事、管工事、空調・衛生といった分野とともに、情報通信や上下水・給水といった幅広い分野のプログラムも登場しています。

プログラムも多様化し、BIMなどのICTを活用した設計・施工に係るものや建設現場におけるドローンを活用する講習会など、国の施策を踏まえた技術革新に係る講習会なども出始めています。

プログラムを実施するプロバイダーも直接建設業に携わる団体や企業のみならず、ICT関連の企業や企画系のコンサルなど新たな技術・分野の企業による参加も現れています。

昨年度は対面での講習が難しい中、インターネットによるプログラムの認定にも取り組んでいます。特にインターネットによる講習会は、地域により講習会の実施が難しいことが従前から一つの課題でしたが、その対応として今後も期待できるものです。

今年度から公共工事の経営事項審査にCPD単位が評価されることになり、企業においてCPD制度がさらに注目されています。企業によっては数百人単位で資格の有無に限らず全ての施工管理技術者を登録し、CPD制度を利用することにより研修や講習会といった継続学習を数値化することで研修の実施方法の充実と記録管理の合理化を図っています。

CPD制度の今後への期待

建設産業において、技術者不足に対する担い手確保、技術力向上による生産性の向上などは、重要な課題であり取り組むべきテーマです。

CPD制度は、継続学習により技術力の向上に繋がる取り組みであり、経営事項審査に活用されることからも、学習内容の多様化、インターネットを活用した学習方法や関連会社を含めた研修会の実施などの学習方法への対応等による更なる普及が期待されます。

また、CPD制度の単位は、従来から公共工事の入札における総合評価方式の評価へ活用されていることに加え、経営事項審査に活用されていることにより一層の公共性を持つようになっています。今後、公共工事の受注のためだけではなく、企業における技術者の経歴等に活用されることも考えられます。

CPD制度は、施工管理技術者の技術力の向上、社内研修だけではなく社外プログラムを活用した社員研修制度の拡充など人材育成のプラットフォームの構築に繋がるのではないかと期待しています。

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