特集

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2017年9月号 No.491

厚生労働省 平成28年度 建設労働者緊急育成支援事業の実施状況~事業の概要・実績と取組事例の紹介~

Ⅳ 平成28年度事業の取組事例の紹介
(各建設業団体等が地域の実情に応じ工夫を凝らして実施)

全国の公共職業訓練施設で野丁場の技能者(型枠・鉄筋・とび等)を養成するためのコースがほとんど実施されなくなっている中、建設業振興基金、総合建設業団体、専門工事業団体ではそれぞれの地域の実情に合わせて様々な既存の訓練施設等を活用するなどして訓練コースを設置し、知恵と工夫を凝らして本事業を実施しています。その取組状況についてご紹介します。


一般財団法人 建設業振興基金 (中央拠点)
28年度は首都圏で直営方式を拡大、重機・内装・躯体・左官・造園など18コースを実施

実施コース:建設ものづくり基礎コース(5回)、重機オペレーターコース(5回)、仕上系技能者(内装)コース(3回)、躯体系技能者総合コース(3回)、建設ものづくり左官コース(1回)、造園工養成コース(1回)
訓練場所:富士教育訓練センター、高度ポリテクセンター、キャタピラー教習所(静岡・東関東教習センター)、石川県造園業協同組合、キャタピラー教習所(北陸教習センター)
技能講習講師:富士教育訓練センター、全国建設室内工事業協会、日本左官業組合連合会、日本型枠工事業協会、千葉県鉄筋業協同組合、鈴木組、石川県造園業協同組合、上記教習所等

取得可能資格

建設ものづくり基礎コース
1.小型移動式クレーン運転技能講習、 2.小型車両系建設機械運転特別教育、 3.玉掛け技能講習、 4.足場の組立て等特別教育、 5.自由研削といし特別教育、 6.振動工具取扱作業者安全衛生教育、 7.丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育
重機オペレーターコース
1.車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込・掘削)、 2.車両系建設機械運転技能講習(解体)、 3.玉掛け技能講習、 4.小型移動式クレーン運転技能講習、 5.ローラー運転特別教育、 6.不整地運搬車運転技能講習、 7.建設業経理事務士4級(女性限定)
仕上系技能者(内装)コース
1.玉掛け技能講習、 2.足場の組立て等特別教育、 3.自由研削といし特別教育
躯体系技能者総合コース
1.足場の組立て等特別教育、 2.玉掛け技能講習、 3.小型移動式クレーン運転技能講習、 4.高所作業車運転特別教育、 5.丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育
建設ものづくり左官コース
1.高所作業車運転特別教育、 2.低圧電気取扱業務特別教育、 3.酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育、 4.足場の組立て等特別教育、 5.自由研削といし特別教育
造園工養成コース
1.小型移動式クレーン運転技能講習、 2.高所作業車運転技能講習(10m以上)、 3.玉掛け技能講習、 4.伐木等の業務(チェーンソー)特別教育、 5.小型車両系建設機械運転特別教育、 6.刈払機取扱作業者安全衛生教育

基金(中央拠点)では、28年度は募集人員の増加に伴い、首都圏による直営方式を拡大して全18コースの訓練を実施しました。
建設ものづくり基礎コース(5回)を富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)(実習)、キャタピラー静岡教習所(技能講習)において、合宿型で実施した他、仕上系技能者(内装)コース(3回)、躯体系技能者総合コース(3回)、建設ものづくり左官コース(1回)、重機オペレーターコース(5回、うち1回は女性限定)及び造園工養成コース(1回)を全国建設室内工事業協会、日本建設躯体工事業団体連合会、日本型枠工事業協会、全国鉄筋工事業協会、日本左官業組合連合会及び日本造園組合連合会の支援・協力を得て、通学・合宿型で実施しました。場所は、高度ポリテクセンター(千葉市)(座学・実習)、幕張国際研修センター(技能講習等)、キャタピラー東関東教習所(技能講習等)等を活用して実施しました。また、造園工養成コース(1回)は石川県造園業協同組合の実習場(金沢市)で行いました。
全体の1コースの定員は、概ね10~15名、28年度参加者は138名で、重機オペレーターが全体の39%、ものづくり基礎が25%、内装が15%、躯体系技能者が11%、左官が5%、造園が4%となっています。
訓練を知ったきっかけは、ハローワークからの紹介が全体の4割、インターネットが3割、建設企業からの紹介が1割の順となっています。
基金ではハローワーク経由の申込みが多数を占めていることから、関東地区のハローワークを全箇所訪問して連携を図ると共に、訓練修了者がゼロか、少なかった県の労働局及びハローワークに対して個別訪問を行い、訓練生募集についての協力依頼を行っています。

富士教育訓練センター実習風景

高度ポリテクセンター実習風景


一般社団法人 全国クレーン建設業協会神奈川支部 (地方拠点)
「かながわクレーン塾」というブランドが浸透、くまもと、みやぎ各コースを開設して被災地を支援

実施コース:かながわクレーン塾コース(マスター、ビギナー、forくまもとを含む)(4回)、みやぎクレーン塾コース(1回)
訓練場所:クレーンメーカー工場、神奈川建設重機協同組合会員企業モータープール、サンピアンかわさき
富士教育訓練センター、KANTO自動車学校、勝英自動車学校、IHI技術教習所、コマツ教習所、日立建機教習センター、那須クレーン教習所、那須自動車学校、ボイラ・クレーン協会宮城、仙台市内自動車学校、宮城県内クレーン会社等
技能講習講師:会員企業の現役オペレーター、上記自動車学校、上記教習所等

取得可能資格

1.玉掛け技能講習、 2.大型特殊、 3.移動式クレーン運転士(5t以上)、 4.移動式クレーン運転士安全衛生講習

(一社)全国クレーン建設業協会神奈川支部内に設置された拠点では、座学は市の施設(サンピアンかわさき)、クレーン操作の実習は会員企業、資格取得は富士教育訓練センターをはじめ、モータースクール、教習所等様々な訓練施設を組み合わせ、5コースを実施しました。
訓練の企画段階から様々な検討を行い、魅力ある資格設定(移動式クレーン運転士(5t以上)等)、富士教育訓練センターによる集団生活(5日間)、企業代表者や現役オペレーターとのコミュニケーションに加え、ビジネスマナー研修にも徹底して力を入れ、マナーを備えた使えるオペレーターが育つと業界で評判となるなど、クレーン業界では「かながわクレーン塾」というブランドが2年経過し浸透してきました。
また、被災地におけるクレーン業界の人手不足解消が喫緊の課題であることから、熊本支部、宮城支部への声掛けを行い、両支部と連携して熊本、宮城在住の方を対象にした2コースを開設。実りある被災地支援となりました。
28年度末時点、訓練修了生(53名)の8割は拠点の紹介等で就職。神奈川建設重機協同組合と連携して就職支援にも力を入れています。

クレーン実習風景

クレーン実機風景

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