特集

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2021年2月 No.525

建設業退職金共済制度(建退共)について

Ⅰ.建退共制度とは

建退共制度は建設業の現場で働く労働者のため、中小企業退職金共済法に基づき、昭和39年に国が創設した退職金制度です。

建退共制度は、事業主の方々が、現場で働く労働者の共済手帳に、働いた日数に応じて掛金となる共済証紙を貼り、その労働者が、多くの工事現場を勤め上げて、最終的に建設業界を退くときに、建退共から退職金を支払うという建設業界全体の退職金制度となっています。

関係各位のご支援の下、制度創設以来、令和2年11月末までの退職金支払い件数は253万件、支給総額は1兆8,603億円に達し、最高支給額は1,264万円となっており、共済契約者(事業主、会社、企業)数は17万事業所、被共済者(加入労働者)数は219万人となっています。

また、建退共制度の事務負担を軽減するとともに対象労働者を的確に把握し就労実績に応じた確実な掛金充当を図るため、令和2年10月より建退共の掛金納付方法に証紙貼付方式に加え電子申請方式が追加されました。令和2年10月から半年間は試行的に実施し、令和3年3月から電子申請方式を本格的に実施することとしております。なお、証紙貼付方式は引き続き利用することができ、原則、工事現場ごとに元請が証紙貼付方式または電子申請方式のいずれかを選択することとなります。

厚生労働省においては、近年の金融市場の状況等を踏まえ、令和3年10月より制度の安定的な運用を図るべく予定運用利回りを1.3%に引き下げるとともに制度の魅力を損なわないよう掛金日額を320円に引き上げることについて取りまとめが行われました。今後、関係法令の改正が行われ、予定運用利回りの引き下げ等が実施されます。

 

Ⅱ.建退共制度の特徴

建退共制度のメリットとして5つの特徴があります。

国の制度なので安全確実かつ簡単

退職金は国で定められた基準により計算して確実に支払われます。手続はきわめて簡単です。

退職金は企業間を通算して計算

退職金は、A社からB社にかわっても、それぞれの期間が全部通算して計算されます。

国が掛金の一部を補助

新たに加入した被共済者(労働者)については、国が掛金の一部(初回交付の手帳の50日分)を補助します。

掛金は損金扱い

掛金は、税法上全額について、法人では損金、個人企業では必要経費として扱われます。

経営事項審査で加点

公共工事の入札に参加するための経営事項審査において、建退共制度に加入し履行している場合には、客観的・統一的評価の対象として加点評価されます。

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