特集

特集
2019年3月号 No.506

工業高校が行う魅力創出の取り組みについて

3号連続でご紹介してきた「工業高等学校の取組事例集」。前号までは、工業高校が行っている魅力発信や魅力創出の具体的な事例を見てきました。本号では、工業高校3年生と工業高校の建築および土木の教員に行ったアンケート調査の結果と、建設業関連企業内定者からの後輩に向けたメッセージを紹介します。

アンケート調査の概要

取組事例集のためにヒアリング調査を行った鹿児島県、兵庫県(2校)、長崎県、新潟県(5校)の建築・土木科の3年生を対象として実施。また教員へのアンケートは、全国高等学校土木教育研究会の会員高校・全国高等学校建築教育連絡協議会に協力をいただき実施した。


本コーナーで紹介した報告書は、
本財団HP「文書データベース」からダウンロード可能です。
上記バナーをクリック!!
文書名は「取組事例集」で検索

問合せ 企画広報部
電話 03-5473-4584

1 工業高校生と教員の意識のギャップ (アンケート調査結果から)

工業高校の定員状況 & 工業高校に入学してよかったこと

今回調査を行った学校ではおよそ60%が、直近3年間で定員割れを起こしていないと回答。また生徒たちは、工業高校に入学した利点を「資格取得ができる」「普通高校にはない授業で専門知識が身に付く」ことに感じている。さらに「入学後に就職と進学を選択できる」「一般的に就職が難しい大企業、公務員にも就職できる」と続くことから、将来への期待感を満たしているといえるだろう。

直近3年間で定員割れはありましたか?

工業高校に入学して良かったと思うことを教えてください。(複数回答)

 教員と生徒のギャップ①  進学先として工業高校を選択した理由

「学力」を理由に工業高校へ進学する生徒が多いと言われることも少なくないが、今回の調査においては「学力に合っていた」ことを理由に選んだという生徒は10%未満という結果に。むしろ、「建設業に興味がある」や「入学後に就職と進学を選択できる」「普通高校にはない授業で専門知識が身に付く」など、前向きな姿勢で工業高校を選び進学している。

 生徒への質問   中学3年の進路決定時、工業高校を選択した理由は何ですか?(複数回答)
 教員への質問   生徒が工業高校を選択した理由は何だと考えますか?(3つまで回答)


 教員と生徒のギャップ②  情報収集・情報発信ツール

工業高校の広報活動のために、建築46%、土木43%の教員が「パンフレット」を活用している。同時に、建築・土木ともに約40%が「パソコン」も活用。パンフレットとパソコンを併用したPRが今の工業高校のスタンダードだといえよう。しかし、建築・土木ともおよそ10%しか取り組めていない「スマートフォン」での広報活動は、生徒にとっては便利な情報収集ツールであるという結果となった。

 生徒への質問   工業高校の情報を収集するために活用したツールを教えてください。(複数回答)
 教員への質問   工業高校の広報活動のため、展開している媒体を教えてください。(複数回答)


 教員と生徒のギャップ③  学校選択時に参考になる情報

実際に学校や施設、授業の様子に触れることができる「学校説明会(高校で実施)」や「オープンスクール」は、生徒が進学する高校を決める際に参考になると考えられる。「在学生からの学校説明会」を広報活動として行っている工業高校は建築・土木ともに5%ほどと少なく、それに比例するように生徒の数値も2%と低くなっており、生徒への浸透が進んでいないことが読み解ける。

  •  生徒への質問   学校を選ぶ時、参考にした情報上位3つを教えてください。
  •  教員への質問   実施している広報活動をすべて教えてください。(複数回答)


 教員と生徒のギャップ④  入学前に知りたい・提供する情報

教員で比較的数値が高い「資格」は、生徒ではやや低い結果となった。これは、工業高校に入学する前の生徒にとって、資格がどのように就職や将来に役立つのか理解が難しいためだと推測される。一方で生徒は、学校生活に関わる「校則」や「留年・退学者数・男女比」などを知りたいと思っており、学校側の公開情報とのギャップが大きくなっている。

 生徒への質問   入学する前に知っておきたかった情報を教えてください。(複数回答)
 教員への質問   入学希望者に公開している情報をすべて教えてください。(複数回答)

1 2 3

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら