特集

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2018年12・2019年1月号 No.504

工業高校が行う中学生へ向けた魅力発信の取り組みについて

CASE3 長崎県立佐世保工業高等学校

学校説明会 告知方法

本校のホームページでの開催告知を基本に、近隣の中学校へはポスターやパンフレットを持参し掲示と配布をお願いしています。保護者の方にも一緒にご参加いただけるよう19時からスタートし、3会場合わせて300名を超えるくらいの参加者が集まっています。

学校説明会 保護者が求める情報を網羅した内容に

 土木科では学校内での生活全般のことを話すよりも、就職や進学といった“出口”についてのPRを充実させると、少し志望者が伸びたという感覚値があります。進路の選択肢については、工業高校の場合は進学も、就職もできます。中には指定の学科を卒業することで受験が可能になる公務員の職種もあります。将来に対する選択肢の広さを理解していただけるように、心がけています。

オープンスクール 生徒が主体となって魅力を語るスタイル

教員のサポートのもと生徒自らがパワーポイントで作り込んだ資料を使い、生徒の言葉で、自分の学科の実習内容や資格取得について紹介しています。2017年はそこに、建築科3年の代表生徒による『体験発表』を加えました。自分はなぜ中学時代に本校の建築科を志望したのか、どのような企業への就職を目指し、どう取り組んでいるかなどの体験を語ることで、中学生も自分のこととして考えられるのではないかと思います。また、CADの操作や測量機械の体験も、できる限り生徒が中学生を指導。活発に会話を交わす姿が見られます。

学外活動 体験内容も生徒たちが自主的に発案

土木の日のイベントや、2月に行われる佐世保市主催の小学生向けイベント『サイエンス広場』になど積極的に出向いています。今回小学校での体験内容について、「シーリング剤で作ったデコレーションパンケーキの裏に磁石をつけて、冷蔵庫に貼りつけられるようにしたらどうか……」と、生徒たちが積極的に発案。ペットボトルを使った液状化の実験装置を使い「地震が起きたときの、液状化の様子を見せたい」など、生徒たちのこれまでの経験の中から、「やってみたいこと」のアイデアが続々出てきています。

CASE4 鹿児島県立鹿屋工業高等学校

メディア 朝の補習授業で検定試験にチャレンジ

入学後すぐから全員出席を義務付けた朝の補習授業を行い、「計算技術検定」(主催:全国工業高等学校長協会)2級の合格を目指します。40名の生徒を中間考査の結果を参考に成績順の2つのグループに分け、同グループの生徒が「みんな同じレベルだな」と思わせることでやる気を醸成しました。成績に変動があればグループ間で生徒を入れ替えることも。また、勉強ができる生徒は苦手な生徒を教えられる優しさを身に付けることを、点数が低い生徒は高い生徒に素直に教えを求める自主性を持つことを学び、生徒同士で助け合いながら成長していける環境をつくることを大切にしています。

結果 生徒たちの頑張る姿が周囲を刺激

希望者にはその他の国家資格や測量手法の補習をすることも。中には難関資格の「測量士」に合格する生徒もいます。
朝補習で楽しそうに勉強している土木科の生徒たちの姿が他学科の生徒たちを刺激し、卒業する頃には「自分も土木科に行けば良かった」と言い出します。そういう生徒には「土木科が楽しそうだぞと、中学生に伝えて」と地道に口コミを働きかける。今では土木科はもちろん、他学科の生徒の弟妹も多い。生徒たちの頑張る姿が、「選ばれる学校・学科」への大きな一歩となった。

メディア 近隣小学校の花壇づくり

近隣の小学校から、校内の花壇をレンガづくりにしてほしいと依頼され、課題研究という名目で平成24年から5年間活動を行いました。この生徒たちの取り組みは、テレビや新聞に取材していただきました。テレビでは、土木科の生徒が作業をしている姿や、小学生と親しげに交流している風景が放送され、イメージ向上の一端になったのではと思います。

こだわり 掲載記事は独自PRツールに活用

記事が掲載された新聞はスキャンをして、学科パンフレットでも紹介。中高の連絡会で中学校の先生に配布しています。パンフレットはA3サイズ片面印刷にしてラミネート加工にするなど、中学校の掲示板に貼り出してもらうため工夫。またパンフレットには、就職先情報なども掲載。中学生にも分かりやすい情報として、初任給を具体的に載せています。“就職率”をPRポイントにするのではなく、中学生が聞いて分かるような企業へ生徒たちを就職させることにこだわっています。

 

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