特集

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2018年3月号 No.496

建設キャリアアップシステムの登録申請がはじまります!

「専門工事企業の評価制度」について


国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
専門工事業・建設関連業振興室長
髙田 龍 
(聞き手:建設業しんこう編集部)

「専門工事企業の評価制度」について、現在の検討状況を教えて下さい。
国土交通省では、建設キャリアアップシステムが平成30年秋に運用開始されることを見据え、「建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会」を立ち上げ、システムに蓄積される情報を活用した建設技能者の能力評価のあり方について検討しています。
この検討会では、技能者の能力評価基準の議論が中心になりますが、技能者の能力評価は、専門工事企業の施工能力にとって重要な要素となり、連動させることが可能であることから、この検討会においても専門工事企業の施工能力等の「見える化」について議論をしていただいています。

どのような項目が「見える化」されるのでしょうか。建設キャリアアップシステムとの関係についても教えて下さい。
まだ検討段階で、これから有識者や建設業関係の方々と議論していくことになりますが、例えば、施工能力・実績という点で、技能労働者のレベル・人数。これについては建設キャリアアップシステムと連動させたいと考えています。そのほか、建機の保有状況や表彰、工事実績。安全衛生の面で、優良企業か否か、労災の状況など。処遇や福利厚生の面で、社会保険の加入状況や給与制度、人材確保・育成。防災などの地域貢献や生産性向上の取組。経営状況等についても「見える化」する項目として検討しています。

見える化した企業情報について、どのような使われ方を想定されていますか。この制度を導入する狙いについても教えて下さい。
発注者や元請企業が下請企業を選定するとき、さらには入職希望者が就職先を検討するときなどに、必要に応じてこうした情報を活用していただくことを想定しています。
すべてをこの制度で完結させることは困難だと思いますが、コストだけではない評価軸、それもオープンになった情報で、競争が行われ、まじめに取り組んでいる企業の受注機会が拡大し、技能労働者の処遇改善や人材への投資に繋がる好循環ができることを期待しています。

制度構築にあたっての課題等があれば、教えて下さい。
具体的には、これから議論していきますが、課題、論点は多くあると思います。評価や情報の信頼性、客観性を担保しつつ、制度が広く活用されるフレーム作り、そのための国の関与や情報の管理の方法など。そのためにも、関係者にご理解を頂きながら進める必要がありますし、(平成30年度予算成立が前提ですが)調査事業も活用し検討会を設置し、実態やニーズも調べながら制度設計をしていきます。重層的な業務遂行の実態の取扱も検討課題だと思います。
また、専門工事業は職種によって多種多様であり、それぞれに特徴が異なりますので、国が枠組を提示した後は、各専門工事業団体において基準等を作っていただく、カスタマイズしていただくことも考えています。団体によって温度差があるかもしれませんが、これは専門工事業の、建設産業の将来のために必要なんだという、そういう気持ちで取り組んで行きたいと思います。

最後に、専門工事業・建設関連業振興室長というお立場から、今後の建設業界、特に専門工事業のあるべき姿・期待することをお聞かせ下さい。
人口減少、近い将来の高齢者の大量離職という状況の中、中長期的な観点での担い手確保・育成が課題ですが、その一方で、インフラの整備や地域の災害対応、都市開発や住宅建設といった建設業の役割は、これからも重要なものだと考えます。そのためには、担い手確保の取組を一層進める必要があり、具体的には、長時間労働の是正や週休2日の確保といった働き方改革、適切な賃金水準の確保や社会保険加入の徹底、生産性向上など、どれも喫緊の課題です。
こうした課題には、我々行政はもちろん、業界含め関係者一丸となって取り組んでいく必要があると考えています。今回の建設キャリアアップシステム、技能者の能力評価、専門工事企業の評価等が、こうした課題に対応するための有用なツール、機会になればと思います。

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