特集

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2018年3月号 No.496

建設キャリアアップシステムの登録申請がはじまります!

4 就業履歴の蓄積と情報の活用

システムの本稼働に向けた開発作業も並行して進めており、今秋には、就業履歴情報の蓄積や閲覧機能を含め、全ての機能を提供できる予定です。
現場を開設した元請事業者は、現場情報をシステムに登録し、現場にカードリーダーを設置します。技能者が現場に入場する都度、ICカードをリーダーにかざすことで、技能者がいつ、どの現場に、どの職種で、どのような立場(職長など)で働いたのか、日々の就業実績としてシステム上に記録・蓄積されます。図4

図4 建設キャリアアップシステムの利用手順
建設キャリアアップシステムの普及・利用促進に向けた建設業関係団体説明会資料

 

既存の民間サービス(労務安全管理や入退場管理システム)との連携機能を利用する方法、パソコン等からシステムに直接入力する方法によっても、就業履歴を登録することが可能です。
システムに登録・蓄積された情報は、技能者、事業者それぞれの立場で閲覧利用が可能です。技能者本人は、パソコンやスマホを使ってそれまでに蓄積された情報をいつでも閲覧でき、自らの経歴等の確認、証明に活用できます。
事業者は、自社に所属する技能者の情報を技能者本人と同様に閲覧が可能で、技能者が入場中の現場にあっては工事期間中の情報を元請・上位事業者も閲覧が可能となります。他の事業者に対しては、技能者と所属事業者が認めた情報に限って閲覧を認めることが可能で、自社の施工力をアピールする目的などで活用できます。
現場ごとの就業実績を技能者・雇用事業主・元請それぞれが把握できることから、建退共証紙の交付徹底にも活用できます。建退共制度は、証紙に替えて電子的に就業実績を把握する方式の検討も始まっています。
事業主にとっても、社会保険加入情報と就業実績をもとに法定福利費の支給を受ける根拠となり、現場入場に必要な資格の確認や台帳の作成にも活用できます。
施工体制台帳、作業員名簿など全建様式に対応した書類作成支援機能を追加しました。元請事業者の利便性を高めるとともに、施工体制や作業員名簿の内容が事前に登録されることで、技能者の就業履歴にその現場での職種や作業内容が適切に反映される効果もあります。

5 システムを活用した技能者の処遇改善に向けた取り組み

こうして蓄積された情報を元に、最終的には、それぞれの技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善に結びつけること、さらには人材育成に努めて優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工力が見えるようにすることを目指します。図5

図5 技能者の処遇改善に向けた取り組み
建設キャリアアップシステムの普及・利用促進に向けた建設業関係団体説明会資料

 

システムには、技能者の資格や経験を真正性の高い方法で蓄積しますが、職種に応じた知識や技能も技能評価の重要な要素となります。
国交省はシステムに蓄積される情報を活用した、建設技能者の能力評価のあり方について検討を開始しました。業界団体を集めて昨年11月に開催した第1回の会合で、評価の客観性の確保、技能者の能力を評価する要素、評価に要するコスト(費用・時間・手間)、業種間のバランス等を論点にあげて、専門工事業団体へのアンケート調査も実施し、29年度内に中間とりまとめを目指す考えを示しました。
また、技能者の能力評価基準の議論と並行して、専門工事企業の施工能力の見える化についての検討もすすめる方針です。
今秋のシステムの運用開始、現場を登録し就業履歴情報の蓄積が開始されるタイミングで、技能者の能力評価基準と事業者の評価制度の枠組みを提示し、制度の運用に向けた準備を開始、評価制度を31年度に稼働させることを展望しています。次ページ『「専門工事企業の評価制度」について』参照

6 結びにかえて

今春から技能者と事業者のシステムへの登録開始、秋頃から現場で就業履歴の蓄積が開始できるよう、開発作業は大詰めを迎えています。まずは、郵送での受け付けを開始し、続いてインターネットでの受付を開始する予定です。登録申請用紙や手引き類も近日中に建設業団体を通じて配布できるよう準備を進めております。
技能者や事業者の申請受付業務を担っていただく窓口業務についても、現在関係者の皆様と調整を進めています。
建設業振興基金は、このシステムが建設業に欠かせないインフラとして信頼され、使い勝手も良い、皆さんに歓迎されるシステムとするために、開発と運用体制の構築と広報にも引き続き力を尽くして参ります。システムの概要やQ&Aをホームページに掲載しておりますが、今後、チラシやリーフレットなど広報資料も順次拡充して参りますので、皆様のご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

建設キャリアアップシステム案内ホームページ
(建設業振興基金HP)
http://www.kensetsu-kikin.or.jp/ccus/index.html

 

建設キャリアアップシステムシンボルマークが決定しました!

大賞受賞者 工藤 和久 さん
青森県在住 グラフィックデザイナー

505件の応募の中から大賞を受賞した感想
とにかく驚いているし嬉しいです。日本は資源は少ないけど人の力とか技の力が素晴らしいと思う。日本の誇れる建設業の技術や技能の継承など建設キャリアアップシステムがその一躍を担ってくれたらうれしいです。

制作コンセプト
建設の「Construction=C」とキャリアの「Career=C」の文字を基調に安全ヘルメットをかぶって、建設業の未来を見つめ担う男女の横顔で赤は太陽、緑は大地で国の土台作りを担う元気な建設業を明快にイメージしました。

 

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