特集

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2018年3月号 No.496

建設キャリアアップシステムの登録申請がはじまります!

「建設キャリアアップシステム」は、システムの運営主体である(一財)建設業振興基金において、昨年6月からシステムの設計・開発に着手し、今春から技能者と事業者のシステムへの登録を開始できるよう、現在、急ピッチで開発作業がすすめられています。
関係団体により運営協議会を構成し、システムへの登録料や利用料のほか、運用開始後1年で100万人の登録を目指し、開始後5年を目途に全ての技能者の登録を目指す方針、普及に向けたスケジュールなどを確認しています。
引き続き開発と運用体制の構築に努力して参ります。

1 建設キャリアアップシステムの目的

建設業就業者は498万人(2017年平均)で、ピーク時(1997年平均)から約27%も減少しています。少子高齢化はわが国全体が直面している問題ですが、特に建設業では、就業者数のうち34%が55歳以上である一方、29歳以下は約11%と全産業を大幅に上回るペースで高齢化が進展しており、将来にわたる担い手不足が懸念され、次世代への技術承継が大きな課題となっています。
建設技能者の賃金の改善や社会保険加入など、処遇改善の取り組みによって、賃金水準も近年は上昇傾向にありますが、依然、製造業に比べ10%以上低い水準にあり、建設業の年齢別の賃金(賃金カーブ)のピークは製造業全体より早く、30代後半で到達しています。このことは、現場での本人の生産性に現れない管理能力や、後進の指導といった経験に裏付けられた能力が適切に評価されていないと考えられます。図1

  図1 年齢階層別の賃金水準(2016年)

 

また、建設技能者は異なる事業者の様々な現場で経験を積み、一人ひとりの技能者の能力が統一的に評価される業界横断的な仕組みも存在しないため、スキルアップが処遇の向上につながっていかない構造的な問題があります。
建設キャリアアップシステムは、技能者本人の情報、資格や社会保険加入状況と現場での就業履歴等の情報を建設業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。システムの活用により、①技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、将来にわたる建設業の担い手確保、②現場管理や書類作成、人材育成の効率化による生産性の向上を目指すものです。
建設キャリアアップシステムでは、本人確認をした技能者をシステムに登録し、固有のIDが付与された建設業界共通のICカード(建設キャリアアップカード)を交付します。さらに、技能者がいつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのか、日々の就労実績としてシステム上に記録・蓄積されます。同時に、どのような資格を取得し、あるいは講習を受けたかといった技能、研鑽の記録も蓄積されます。こうして蓄積された情報を元に、最終的には、それぞれの技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善に結びつけること、さらには人材育成に努めて優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工力が見えるようにすることを目指します。図2

図2 建設キャリアアップシステムの構築
建設キャリアアップシステムの普及・利用促進に向けた建設業関係団体説明会資料

 

建設キャリアアップシステムは建設業や技能者にとって基本的なインフラとなるものであり、この仕組みを活かして行政・業界が一体となってさまざまな取組を進めていくことが必要です。人材の育成評価に係る横断的な仕組みができることは、優秀な人材にとって魅力ある産業であり続けるために重要なポイントとなります。

2 システムに登録する情報と技能者の就業履歴蓄積のしくみ

建設キャリアアップシステムに登録された技能者が現場に入場する都度、技能者に交付したICカードと、システムが提供するカードリーダー等の仕組み、あるいは労務安全管理や入退場管理を目的とした既存の民間システムとの連携機能によって、事前に登録された「技能者情報」と「事業者情報」、「現場・契約情報」の3種類の情報が組み合わされ、技能者の「就業履歴情報」として蓄積されます。図3

図3 建設キャリアアップシステムの概要
建設キャリアアップシステムの普及・利用促進に向けた建設業関係団体説明会資料

 

技能者情報として登録するのは、現場入場時に作成する安全書類、作業員名簿や新規入場時のアンケートに記載される項目を想定したものです。技能者個人を特定する情報、資格や経験に関する情報については、技能者の評価に関する項目でもあり情報の真正性確保が前提となります。証明書類等の確認ができないものは区別して登録されます。外国人も対象としますが在留資格を併せて登録します。
事業者情報は商号、所在地や建設業許可番号などの情報で、建設業許可を受けていない事業所も対象となります。技能者の所属事業所から元請け、下請け、法人、個人を問わずシステムに参加するすべての事業所が登録対象です。
現場・契約情報は、現場の名称、所在地、工事の種類などの情報で、技能者の就業履歴として蓄積されたときに、どこの現場でどのような工事・作業に従事したかが分かるような単位で登録します。大規模な工事であれば工区ごとに分けて登録することも、分譲住宅の現場は1棟ずつではなく開発単位で、地域での小規模リフォームは〇〇市内のリフォーム工事などと一括して登録することも可能です。
なお、住宅の現場などでは個人名を使用しない、〇〇町戸店舗併用住宅などの工事名称を使用していただくようお願いします。

3 技能者、事業者の登録はインターネットや郵送、窓口で申請

技能者、事業者の登録は、インターネット、郵送、窓口での申請が可能です。申請用紙は、業界団体や受け付け窓口等を通じて配布する予定です。
技能者は、本人確認に必要な書類(運転免許証等)の写しを提出していただき、運営主体や窓口で本人であることを確認したうえでシステムに登録します。登録・審査完了後、技能者IDを付与し、技能者の顔写真が印刷されたICカード(建設キャリアアップカード)を指定の住所に郵送します。運用当初は、通常のカードと登録基幹技能者を対象とした(ゴールド)カードの2種類になります。
事業者は、建設業許可通知書などの証明書類を添えて登録を申請します。建設業許可情報との連携機能により、簡略な入力を可能としています。審査完了後、事業者IDを付与し、メール(郵送)でお知らせします。
技能者、事業者の登録は、雇用事業主や上位企業による代行申請も可能です。とくに、技能者の社会保険等の情報を適切に登録するため、雇用事業主による代行申請を積極的にお願いする方針です。事業所が管理している従業員名簿等のデータを取り込み、技能者情報の登録を補助する機能も提供します。
システムへの登録料は、技能者は実費相当で、インターネット申請の場合2,500円(1年あたり250円)、郵送・窓口申請は3,500円(1年あたり350円)とし、負担いただくのは、新規登録時と10年ごとの更新時になります。
事業者は規模(資本金)に応じた登録料(5年更新)とシステム利用料を負担いただきますが、システム利用料は全事業者が負担する管理者ID利用料(1IDごとに2,400円)と元請事業者(現場を登録する事業者)が負担する現場利用料(就業履歴1件ごとに3円)になります。例えば、資本金1,000万円、年完工高1億円、元請として700件の就業履歴を蓄積するとして、年6,900円(元請工事が無い場合4,800円)を負担いただく予定です。一人親方は事業者としても登録しますが、登録料は無料です。なお、普及促進の観点から利用料の割引について現在検討中です。

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