特集
CI-NETの対応状況
2.CI-NETのインボイス対応状況
(1)インボイス対応の背景
本財団に設置されている情報化評議会において、2019年度よりインボイス(適格請求書)制度に対応して、CI-NETの規約をどのように改定すべきか協議して参りました。インボイス制度は全産業に及ぶものですが、CI-NETでは出来高部分払い等の業界固有の商慣習も含めた検討を進めています。
検討の過程では、出来高部分払いに起因する課題も顕在化しましたが、国税庁担当課との協議を踏まえ、解決に向けた意見をいただくなど、皆様の協力の下、規約改定を進めました。
※詳細はCI-NETのWebサイトをご覧ください。
(2)規約改定について
情報化評議会において検討した主な項目は、以下のとおりです。
1)具体的な検討事項
インボイス制度では、仕入税額控除を行うには適格請求書を受領することが求められますが、適格請求書に必要な記載事項には、「発行事業者の氏名または名称および登録番号」や「取引内容(軽減税率の対象品目である旨)」、「税率ごとに区分した消費税額等」など、新たに6項目が追加されています。
そのため、従来のCI-NETの規約に不足していた「登録番号」などのデータ項目を追加したことにより、協力会社による出来高や資機材等の請求業務、また元請による立替業務など多岐にわたって対応する必要がありました。
特に、「税率ごとに区分」する要件の追加により、従来、CI-NETでは請求金額等を単一税率で処理していたため、規約の大幅な変更と、変更に伴うシステム改修が求められています。
2)受発注者間での実証事業
CI-NETを利用した電子商取引では、相手側と契約書などのデータを送受信する際に、法的要件(建設業法)として本人性確認や改ざん防止のための電子証明書、電子署名の添付が求められています。また、CI-NETには、データの誤送信、追加工事、変更工事など、工事完了までの様々な状況に対応したシステム処理が実装されています。
そこで、2022年10月~2023年3月の間、発注者側企業である主な元請とASP*ベンダー間で、実業務を想定した実証事業を実施しました。受注側企業である協力会社、約17,000社のほとんどがASPベンダーを利用しているため、ASPベンダーが受注者側企業に成り代わり、実業務を想定した運用の確認を行いました。
*ASP(エーエスピー、Application Service Provider) インターネット経由でソフトの機能を有償で提供する事業者。ユーザーにとって、インターネットを利用してソフトを利用できるため、ソフトやシステムの導入、運用、更新などの手間が少なくなる。
3)インボイス制度開始に伴う規約のバージョンアップ
現在、CI-NETの規約はVer.2.1を利用していますが、インボイス制度対応では改正されたVer.2.2での運用となります。新旧のバージョンを一時に切り替えることは困難なため、2023年4月から9月の間に元請が、順次切り替える予定です。
この切り替え作業に併せ、CI-NETでは、インボイス制度開始(2023年10月)に先立ち、上記実証事業の結果に基づき、2023年4月からインボイス制度の実運用に取り組んでいます。
CI-NET 標準委員会では、新旧の規約が一定期間併存することを踏まえ、旧バージョンから新バージョンに円滑に移行するための運用に関しても検討を行って参りました。上記の実証事業で顕在化した課題についても解決に向けた取り組みを実施しているところです。
3.電子帳簿保存法との関係
2021年に改正された電子帳簿保存法(2022年1月1日施行)では、CI-NET等のEDIデータは、電子データのまま保存することとされています。CI-NETのサービスを提供するASPベンダーでは、電子契約書やそれに付随する見積書、請求書等の電子データについて、保存サービスを提供しています。
※電子データの保存要件については2年間の猶予措置が取られています。
2024年4月以降には、時間外労働時間の上限規制もスタートします。生産性向上に有効なCI-NETの導入を、ご検討いただきましたら幸いです。
〈参考情報:CI-NETに関するWebサイト情報〉
■CI-NETホームページ(はじめてのCI-NET、インボイス対応 等)
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/ci-net/
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