建設業の労務管理

建設業の労務管理
2019年12・2020年1月号 No.514

建設業における労働時間の考え方

Photo・Text :
アスミル社会保険 労務士事務所代表
特定社会保険労務士 櫻井 好美

民間企業に7年勤務後、2002年櫻井社会保険労務士事務所(現・アスミル社会保険労務士事務所)を設立。
【主なコンサルティング・セミナー内容】
就業規則・労働環境整備、人事評価制度コンサルティング、賃金制度コンサルティング、退職金コンサルティング、働き方改革セミナー、管理職向け労務管理セミナー、建設業むけ社会保険セミナー、介護セミナー、WLBセミナー、女性の働き方セミナー、学生むけ働く前に知っておいてほしいこと 等

 

法定労働時間とは?

労働基準法では、休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないということになっています。
法定労働時間を超えて仕事をするのであれば、下記の2点をクリアしなくてはいけません。

 ❶ 36協定の締結および届出 
 ❷ 割増賃金(残業代)の支払い 

 

法定労働時間と所定労働時間

法定労働時間とは法律で決まった労働時間、所定労働時間とは会社ごとに決めている労働時間のことをいいます。法定労働時間を超えることはNGですが、法定労働時間以内の基準はOKです。1日7時間労働や1日7時間30分というのは法定労働時間以内なのでOKです。

 

労働時間とは?

「使用者の指揮命令下」にある時間のことをいいます。

 

移動時間の考え方

現場へ向かうときは、会社へ集まり、単独もしくは複数で車両に乗って現場へ向かうケースが多いと思います。ただ、この移動が、会社の指揮命令下であれば労働時間とカウントします。車の中でその日の段取り等の打合せをしたり、必ず乗る車両が決められているのであれば使用者の指揮命令下と考えられるため、労働時間と扱います。ただ、会社に集まりはするが、誰が車両を運転するのか?集合時間等も移動する人達で任意に決めて移動するのであれば、「通勤」としての意味合いが強く、これは使用者の指揮命令下にあたらない、つまり労働時間ではなく、単に通勤時間と考えます。

 

36協定とは?

法定労働時間または法定休日を超えて労働させるときには、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者との労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署へ届出をしなくてはなりません。36協定とは、1ヶ月、1年間での残業時間の限度時間を決めておくものです。たとえ労働者1名であっても締結しなくてはいけません。

 

建設業における労働時間の問題点

例えば、始業8時、終業17時、休憩が12時~13時という会社があったとします。この会社の所定労働時間(会社で定めた労働時間を所定労働時間といいます。)は1日8時間です。
下図のような働き方をする場合は、必ず36協定の締結・届出と残業代の支払いが必要になります。

 

労働時間のポイント

建設業においては土曜日に現場が動いており、時間外労働が当たり前になっている可能性があります。まずは、会社の所定労働時間が法定労働時間の中でおさまっているのかを確認をしてみてください。また、朝礼が始業時間前に行われていたり、現場から戻ったあとの片付けや、日報作成等をさせているのであれば、これは労働時間とカウントします。まずはメリハリのある時間管理をしていくことが必要です。

 

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