働き方改革への最終チェック

働き方改革への最終チェック
2023年12月・2024年1月 No.554

定着率向上への取組③

取組事例

きっかけ きっかけは「若年者の離職」

若年者の入職のために休日数を増やしたにもかかわらず、なかなか定着しないことで悩んでいました。しかし、労働条件だけでなく自社の強みを考えたときに、プロの職人集団であること、また、経営者目線での教育をしてきたことを改めて考え直し、社内でのコミュニケーションや教育体制の見直しをはじめました。

 

委員会活動

社内には、「あいさつ向上委員会」「理念と経営」「現場環境改善委員会」「IT委員会」という4つの委員会があります。

「あいさつ向上委員会」では、自ら挨拶をすることで、社内での雰囲気づくりをしています。一言であいさつといってもお客様を迎えるときはどうしたら喜んでいただけるか?また、お客様が帰るときは全員が一度手を止めて、全員でお客様をお見送りしようといったことを提案し、社内で実施をしています。

「理念と経営委員会」では、自分達で読んだ本の中で、他の人にとっても役に立つ、共有したいといった情報を、社内でのラインワークスを通じて発信をしていきます。社長塾で経営理念について話をしていますが、それを落とし込むことができるようになりました。

「現場環境委員会」では、社内整備のルール化をしています。環境整備で物を探す時間の削減、働きやすい環境づくりが出来てきました。

「IT委員会」では、社内の効率化のためどのようなITを活用したらいいのかを調査し、社内で提案をしていきます。今は、ラインワークスを使い社内でのスケジュールや情報共有をすることができました。今後は社内でアンケートを取りながら、働く人が便利になるようなツールを探していこうと思っています。

それぞれの委員会活動を通じて、内勤者と現場の人が同じことを共有することで、社内のコミュニケーションも活発になり風通しのよい会社になってきました。

 

社長塾

月に2回、新入社員も含めて全員が社長塾に参加します。経営理念の浸透はもちろんですが、新入社員であっても「経営」という視点で物事をみることの重要性を理解することで、仕事の面白さの幅が広がっているように思います。また、大工であっても単に職人に終わらず、経営を知ることで自分のキャリアとして独立することも選択できるように指導しています。

 

大工塾

社長以外の者が全員参加をします。月に1回ですが、こうした時間を設けることにより、現場では相談できなかったことや、先輩達の失敗談等も自然と聞くことができます。というのも、職人は、自分達の技術を表に出したがらない人も多く、これでは会社として成長できないということを感じました。そのため、この大工塾を通じ「知の共有」「失敗の共有」「出し惜しみをしない」ということをルールとし、現場の気づきを社員全員で共有することで、個々のスキルをあげていくこと、また、先輩職人の話を聞くことで、将来の自分をイメージすることができるようになりました。

 

今後の課題

いろいろなコミュニケーションの取り方で社内の雰囲気が良くなってきています。今は、職人の方の情報を共有することでの知識を入れていますが、それと同時に、経験年数に応じた座学での研修や、経験年数ごとの資格取得等を実施していくことで、個々のスキルアップをしていきたいと思っています。

まとめ
働き方改革が「早帰り運動」になってしまっている会社をよくみますが、働き方改革の本来の目的は「生産性をあげること」なのです。労働時間削減もやらなくてはいけませんが、それと同時に教育、社内の環境整備を実施し、個々のスキルアップをはかっていきましょう。定着率をあげるためには、個々人のやる気を引き出す工夫も重要なのです。

 

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