働き方改革の定着に向けて

働き方改革の定着に向けて
2022年5月 No.538

経営者としての覚悟

1.働き方改革には経営者の判断が必要!!

労働時間の削減は簡単にできるものではありません。従業員個々の能力をあげたとしてもそれには限度があります。「働き方改革」を推進するためには、会社として決断が必要です。例えば、各地域に営業所を置いていたが、それぞれの商圏をリサーチし、今後受注見込みのある営業所に統合をしていくとか、今までは遠方での仕事も受注していたが、従業員数が増えない中で利益をあげていくには、一定のエリアの仕事に集中をするとか、経営者としての判断が必要です。

 

2.経営者の仕事

経営者には「経営」という独立した仕事があります。その中で1番大切なのは、企業の方向性を決めることです。要は、何をして、何をやらないのかを決めることをいい、これを「戦略」とよびます。そして正しい戦略をたてるには正しい情報をつかむことが必要です。「情報はインターネットからとってるよ」という経営者の方がいらっしゃいますが、これは危険です。インターネットで調べる情報は、自分が欲しい情報をとりにいくのであって、それが経営を判断する上で正しい情報とは限りません。本当に必要な情報は、自分自身の興味がなかったとしても、世の中で起こっている事実の中から収集しなくては必要な情報を入手しているとはいえないのです。まずは新聞や法改正といったものから客観的な情報を入手していくことが大切です。そして、外部の情報と同時に大切なのは、内部環境を把握することです。いくら大きな仕事を受注したとしても、人がいなければその仕事は受けることができません。戦略をたてるには、外部環境、内部環境をしっかりと検討していく必要があります。外部環境とは、働き方改革、CCUS、建設業法改正、ウッドショック、インボイス等があります。「労働時間削減なんて無理だ」ではなく、現実として向き合わなくてはならないのであれば、いち早く対策をとった会社が、その分、軌道に乗せるのも早いのです。環境への不満ではなく、自分達で何をしなくてはいけないのかを検討していきましょう。重層下請構造の中では、会社の方向づけを考えることもなく、上請との関係性を良好に保つことに集中し、本来であれば利益のでないような仕事をうけたりすることもあるのかもしれません。しかしながら今後は、「このままでは単価勝負になってしまうから、元請になれるようにしたい」と考えるのか、それとも現状のオールマイティーに受けることを会社の強みとしていくのか?といったことを真剣に考える必要があります。成り行きの経営では、会社はうまくいかないのです。そのためには、自分たちはどういう会社を目指すのか?ということを常に考えていく必要があります。外部環境をしっかりと把握し、限られた原資(人材・お金)の中でどういう方向に進んでいくのかを決めていくことが大切です。まさに経営者としての覚悟が必要なのです。

 

3.働き方改革は経営戦略

「働き方改革」は早帰り運動ではありません。限られた資源の中で経営を行っていくという、経営戦略です。ただ、法改正というのは会社を変えていくチャンスでもあります。これからどういう会社を目指すのかを再度検討していきましょう。

まとめ

  櫻井先生
労働時間削減を簡単にとらえがちですが、労働時間を削減するには会社の今までの業務のやり方や働き方を見直しする必要があります。働き方を変えるということは会社の風土を変えることなので、時間がかかることなんです。
  丸山社長
なるほど! 私も改めてどういう会社を目指していくか考えてみますよ。
  鈴木課長
社長、私達も変わっていかなくちゃいけないですね!

 

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