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2020年9月号 No.521

安全は技術「あんぜん は わざ」ー 若い世代と共につくり、つないでいく。

安全は技術「あんぜん は わざ」–
若い世代と共につくり、つないでいく。

登録トンネル基幹技能者
成豊建設株式会社
野口 壮(のぐち たけし)さん
1979年1月生まれ 
熊本県出身

 

全長4.8kmに及ぶトンネルの貫通に向けて、工事を進める職人たち。現場を指揮するのは、地元・熊本から全国各地、さらにはトルコ・イスタンブールまで、あらゆる地域でトンネル工事に携わってきた野口壮さんだ。

入職して初めての現場は、九州新幹線のトンネル工事だった。「トンネルのような大型の構造物でも、ミリ単位で施工管理をしているんだ」と、その精密な工程に驚くとともに、ベテランたちが活躍する中で経験不足な自分自身に歯がゆい思いを抱くことも多かったという。「専門知識はもちろん、経験値も必要とされるのが土木という分野。様々な現場経験を積み重ねることの大切さを感じました」と語る。登録トンネル基幹技能者の資格は、そうした経験を積み重ねてきた証でもある。

事業の施工計画から現場の管理調整まで、作業所運営すべてに関わる野口さん。常に意識しているのは、見せる現場づくりをしていくこと。「家族や地域住民、建設業従事者など、どんな方々に見ていただいても恥ずかしくない現場をつくることが、確かな仕事や安全につながります」と話し、日々現場内を巡視してきれいな現場づくりを徹底。仲間にもこまめに声をかけ、わずかな不具合や体調の変化などを見落とさないようにしている。

また様々な世代の職人が集う現場では「工事に携わる全ての人間が、共通の理解と意識をもって仕事できることが大切」と考え、図や写真、動画などを使って視覚的に説明することに努めている。ベテランにも若手にもわかりやすく情報を共有していくことは「関わる人々が一体となって施工しないとトンネルは完成しない」と知る野口さんだからこそ特に力を入れている部分だ。

経験豊富なベテランは多い一方、若い世代がまだまだ少ない建設業界の中で、次世代の育成にも余念がない。現場ではベテラン職人の成功事例や失敗事例などの体験を若い世代に伝え、経験をつないでいくことを大切にしている。さらに若い世代の声に積極的に耳を傾け、新しい意見やシステムを柔軟に取り入れていくことも、自分たち中堅世代の役割と語る。

「しっかりと我々がバックアップしながら、若い働き手に責任ある仕事を託していくこと。様々な事業に携わり、環境に馴染みながら経験を積んでもらうことが大切」と野口さん。「トンネル貫通の瞬間に立ち会うたび、大きなやりがいと喜びを感じます。もっと多くの人々に、この感動を味わってほしいですね」

 

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