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2018年11月号 No.503

しんこうTODAY 振興基金の活動報告

私たちの主張
国土交通大臣賞 受賞作品

建設会社と共に歩んでみつけた「宝物」
河北建設株式会社 佐藤 孝義さん

受賞者のコメント
一言でいうと、建設業の素晴らしさを発信し若者にもっとこの業界に入職して欲しいという思いで応募しました。今回の受賞は選ばれると思っていなかったので、青天の霹靂でしたが、社長も「よくやったなぁー」と喜んでくれました。建設業は、自然の中で季節を感じながら、仲間と協力しあい、一つのものをつくり上げる魅力的な仕事です。自然の中で仕事ができる素晴らしさをこの作文で皆さんにお伝えできれば嬉しいです。

 

「よくぞ、ここまで頑張ってきたなあ。」
我が社が創立して、今年で50年が経ち、多くの政財界関係者を来賓として招いて、盛大に記念式典が行われた時の事。入社して間もないころの、右も左もわからなかった自分と重なり、胸がいっぱいで感無量になりました。
こうして会社が晴れの日を迎えられたのも、世間から「無駄な公共事業」と揶揄されて、その影響からか工事が激減し、仕事の無かった時代や、東日本大震災であろうことか、本社ビルが倒壊するなどで、幾度となく押し寄せた経営危機という荒波に、多くの知恵を出し合い、勇気をもって事に当たってこられた先輩方と、この会社に縁あって入社した、社員一人ひとりの、熱い努力の結晶だと思いました。顧みますと入社して36年、私を、一回りも二回りも大きく成長させてくれたのも、建設業の会社に勤めることが出来たからだと、とても感謝しています。
入社当時に配属されたダムの工事現場では、大自然と向き合っての作業でした。都会では味わったことの無いような季節感を間近に感じて、心地よく仕事する事が出来たのを、今でも鮮明に憶えています。春は、多くの高山植物がいっせいに咲き乱れ、まっさらで透明な雪解け水が、しずくとなって川に流れて、夏には、山の新緑がまぶしく、鳥たちが飛び回り、秋は、澄んだ夜空に満月が美しく、満天の星が降りそそぎ、冬には、肌を刺す厳寒な空気も、新鮮で美味しく感じられ、事務所の軒下まで深々と積もる雪も、野うさぎなど小動物の足跡が、ほっとさせてくれました。
こんなにも素晴らしい環境の中で、多くの仲間と一致協力して、コンクリート打設や型枠組立、原石山採掘での発破作業など、日々の作業を黙々とこなし、困難な工事にぶち当たっても、みんなの英知を結集して乗り切りました。
毎月1日の「山の神(安全祈願祭)」では、工事関係者全員で、無事故無災害を誓い合い、その後の直会は、ドラム缶を半分に切断し、その上に鉄板をのせて、スコップをヘラ替わりにし、豪快にバーベキューをして楽しみました。ある時は、熊がとれたからと、食わず嫌いの私に「佐藤君、一生に一度しか食べられない貴重なものだから」と言って、優しく熊肉を食べさせてもらった事もありました。
企業者、元請、下請、その時ばかりは役職関係無しに、いろんな職種の人と、飲んで食べて、コミュニケーションを図り、明日への活力を養った時の事など、他の職業では、絶対に味わえない事ばかりでした。
素晴らしい四季の移り変わりに癒されて、大自然の中で仕事出来る幸せを、建設業だからこそ、感じ取る事が出来たと思います。
又、震災復興工事の作業では、全てが多くのガレキで覆いつくされた被災地で、昼夜問わず懸命になってガレキを取り除き、辛く悲しい現場でしたが、現地復興して、被災住民からたくさん感謝をされました。
更地の上に、新たな構造物が出来上がってくると、それにつれて、人々の傷ついた心も、だんだん穏やかになっていく様で、建設業は、地元住民にとって無くてはならない存在になったと確信しました。私が建設業で培ったどの経験も、かけがえのないとても大切な「宝物」です。
ここ最近の建設業は、日々、目まぐるしく変わりつつあり、着実に「3K(危険・汚い・きつい)」から、脱却してきている様に思います。安全保護具の充実や、機械には、ヒューマンエラー防止のための装置が備わっています。
さらに働く人にも、完全週休二日制は当たり前、有給休暇完全取得奨励や、残業ゼロの推進、女性の現場進出に伴う更衣室の設置やトイレのウォシュレット仕様等々、何をいまさらと笑われてしまいそうですが、以前には、まったく考えられませんでした。環境や設備が時と共に、良い方向に整いつつあると実感しています。
しかし、さまざまな職業での雇用情勢は、売り手市場であると耳にしますが、超難関の試験を突破して、せっかく企業に入社したのに、仕事が自分に合わずに投げ出して、長続きせず辞めていく若者が多いと聞きます。一流大学を卒業しても就職もままならない、超氷河期と言われた時代を知っている私は、「もったいない事をしているなあ。」と思います。石の上にも3年と言います。何事でも長く続けるということは、とても大変な事だと思います。
たかが50年、されど50年、半世紀にわたって地域社会に根付き、ダム工事、造成工事などの大型工事から、震災復興工事に携わって、微力ながら社会貢献をしてきた、我が建設会社を誇りと思うと同時に、この会社で働ける喜びをかみしめています。そして、これからの多くの未来ある若い人にも、どんどん建設業の職場で、たくさんの経験を積んで、自身の手で自分の「宝物」をみつけ、この同じ喜びを、実際に感じて欲しいです。


愛されるふるさとづくりのために
株式会社野原組 野原 愛子さん

受賞者のコメント
揖斐建設業協会から作文コンクールの案内があり、「ちょっと書いてみようかな」と書き始めたら今までの沢山の思いが湧き出てきました。建設業だから感じるやりがいや、会社の理念「安心、安全、愛されるふるさとづくりに貢献します」を、作文を通して皆さんに知ってもらう良い機会になればと気持ちを込めました。今後も、社長である夫の思いを大切にし、従業員と力を合わせて、地域の皆さんに喜ばれるものづくりをしていきたいと思っています。

 

「さあ、行くぞ」
今年の冬もこの声から始まる。社長の勢い余る威勢のいい声が、従業員を一斉に降りしきる雪の中へと出動させる掛け声だ。真夜中二時、もちろん誰もが寝静まっている時間に、静かにとても静かにどんどん雪は降り積もる。早朝の早い人で朝四時過ぎには職場に向かう住民もいる事を、社長は知っている。除雪車重機と誘導車輌がこの県道春日揖斐川線を行ったり来たり道路の端ギリギリまでの雪をかき取る。その作業の出来栄えと言ったらとてもきれいで自慢できる技だ。車道どころか歩道までもきれいに除雪されている。
ここまで除雪作業が完璧なのは、この県道春日揖斐川線を会社の皆が知り尽くしている事や、何より重機の操作が上手い事、何度も除雪作業を経験している事、そして普段から作業員間のチームワークが良い事、それと、社長の優れたリーダーシップ力と、従業員との間に絆とも言えるほどの信頼関係があることは、社長の真っ直ぐな思いとそれに応える従業員との絆そのものだ。 社長の第一声の掛け声には、たった五文字の中にいろんな気持ちが入っている。「除雪作業をさあ、始めるぞ、従業員の皆、任せるぞ、頼んだぞ、住民が車を走らせる前には終わらせよう、事故の無いように作業しよう」そのいろんな気持ちが詰め込んである掛け声である事は、従業員の皆が感じている、知っている。
我が社は、「安心、安全、愛されるふるさとづくりに貢献します」を基本理念にしている。建設工事で長期にわたるバイパス道路新設工事や橋梁の取り付け工事、台風や大雨による災害からの復旧工事、道路維持工事、民間の造成工事などあらゆる工事を手掛けている。住民から、「こんなにいい道路を造ってもらえて本当に有難い。今まで狭い道やったけど、こんなに広くなって嬉しい、ようやってくれた」「危ない所だったがこれからは安心して通れる」など言われて、こちらも今まで頑張って良かったと心から思えるときのそのやりがい感はなかなかのもので、これからも頑張ろう、いい仕事して喜ばれるものづくりをしようって思う、と若い技術者が目をきらきらさせて言っていたのを覚えている。
除雪もそうだ。毎年の年賀状を社長が楽しみにしているのは、印刷された年賀状の端っこに、ボールペンで書かれたお礼の文章で、毎年やりとりさせてもらっている年賀状の中に「いつも早朝より除雪してもらい有難うございます」と書かれている年は、社長の顔が緩む。本当に嬉しい時の顔になる。社長自らやりがいを感じている顔だ。年賀状だけではない。直接除雪の御礼の電話も頂くこともある。私まで本当に嬉しくなる。この何とも言えない達成感とやりがいは、建設業だから感じる特殊なやりがいだと思う。仕事のそれぞれにそのやりがいはきっとあるが、建設業だから感じるというやりがいは、他では味わえない。
私は普通高校から日赤看護学校を卒業し、めでたく自分の夢である看護婦(今でいう看護師)になる事ができ、毎日患者さんの体調観察、点滴、採血、検査介助、術後管理、救急室や手術室勤務もこなした。元気を取り戻して退院されていかれる方、命絶えて亡くなられる方、いろんな方に出会い自分のできることを仕事に注いだ。看護婦は私にとって本当にやりがいのある仕事だと思う。そんな時、どうした縁があったのか、嫁いだ先が野原組、まさか建設業に携わるとは思ってもみなかった。さすがに看護婦とは全く別の世界だが、私の父は力仕事の建設現場作業員で私達を育ててくれたので、建設業にすんなり入れたことは幸いだった。そして二十五年の月日が経ち、この建設業の仕事を続けていられるのは、暑い日も寒い日も、ものづくりへのやりがいを持って明るく一生懸命仕事をしている会社の皆の頑張っている姿が、私のやる気を奮い立たせるからだと思う。  
社長に、建設業について一言でいうと何かという質問をしてみた。
「後世に残るものづくりの仕事」
私は、道路の新設や橋梁の取り付けを亡き先代の社長のころ、先代の社長と共に働いた今は亡き従業員の方々が汗水流して造ったこの道路や橋が脳裏に浮かんだ。そして現在手掛けている工事現場もこれからの世代の人たちが利用していくことも想像した。そして、目には見えないが、この野原組の「安心、安全、愛されるふるさとづくりに貢献します」という心、信念も後世に残っていくような気がしている。いや、後世に残していかねばならない。愛されるふるさとづくりのために。

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