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2022年3月 No.536

いつか生徒とドローン測量で野球グラウンドを整備したい!ドローン未経験から始めた課題研究の取り組み

2022年に創立60周年を迎える東京都立田無工業高等学校。「社会の有為な形成者として必要な資質を培い、実践力を身に付けた技術者を育成する」を教育目標に掲げる本校では、2018年、都立高校として初めてドローンを導入しています。今回は、ドローンを使った課題研究の指導を行う都市工学科の山口顕次郎先生に、課題研究にかける想いや、活動を通じて生徒たちに伝えたいことを伺いました。

生徒たちの希望を叶えるべく独学でドローンの操縦技術を習得

校舎屋上近くの壁面、野球ボールが当たり割れてしまったガラス製化粧材の破損状況を、ドローンを操縦し確認しているのは同校の三年生。山口先生が担当する課題研究のメンバーだ。

「今年のメンバーはドローンの操縦にも取り組んでいますが、“操縦すること”にはこだわっていません。生徒自身が何を学びたいのか、生徒同士で話し合ってゴールを設定し取り組み内容を決めています。ドローンが測量の現場で使用されている様子を見たいという希望があった年には、企業にお願いして現場見学に行ったり私が測量しているところを見てもらったり。過去に『自分たちでドローン測量をやりたい』と希望した生徒たちは、年間を通して10時間以上の夜間飛行や目視間飛行の実績をしっかり積んだうえで、国土交通省への飛行許可申請までを自分たちで行ったこともありました。もちろんサポートはしましたが、申請に必要な書類やマニュアルも生徒たちが準備して、実際に申請が通って測量まで行えたことは、一つの良い経験になったと思います」

生徒たちの希望に合わせ臨機応変に取り組みをサポートしているのだからドローンの活用経験が豊富なのかと思いきや、実は「田無工に来て初めてドローンに触った」というから驚きだ。

「取扱説明書を読むことから始まり、生徒が下校した後などに飛行練習を重ねながら、国土交通省の許可申請を取り、なんとか指導できるまでの技術を身につけました」

自身が野球部の顧問ということもあり、「ゆくゆくは、グラウンドを野球の公式戦仕様に整備するために必要な土量をドローンで測量するなど、より実践的な授業にしていきたい」と話す山口先生。ときには企業に協力を仰ぎつつ、実際の仕事の現場ではドローンがどのように使われているのかなどを学びながら、生徒たちの卒業後に役立つ授業の在り方を常に模索している。

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