FOCUS

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2020年12・2021年1月 No.524

部活動の活躍が生徒たちの絶好の刺激に! 苦手から目を背けず、 真摯に取り組む雰囲気を醸成

昭和37年に設立して以来、地元に愛されている愛媛県立八幡浜工業高等学校。しかしながら、昨今の少子化の影響に抗うことはかなわず、平成27年に機械科と土木科は廃止。平成28年からは「機械土木工学科」として、新たな歩みをスタートさせました。非常に幅広い分野を学ぶ同科において、山内良馬先生はどのような授業の工夫をしているのでしょうか。生徒への想いと合わせて伺いました。

50分の授業を3つに分割『聞く力』をトレーニング

1年生では機械と土木の両方の基礎を学ぶ同学科。「工業技術基礎」という授業では機械系と土木系の実習を両方行い、現場見学会も機械系の造船会社、土木系の橋梁・高速道路の現場両方を訪問するなど、機械・土木双方の基礎的な知識を身に付け、進路を選べるのが同校カリキュラムの魅力である。

生徒が職業に関するミスマッチをしないよう、土木の魅力を伝えるのは教員の大切な役割のひとつ。そこで山内先生は、画像やスライドを効果的に用いながら授業を進めるよう工夫している。

「近年の子どもたちは、『聞く力』が少々足りないように感じています。ひと昔前であれば、先生に聞いたりしていたので、人の話を聞くことに慣れていました。しかしスマートフォンの普及もあり、分からないことがあっても自分で調べることができる。その結果、聞くことから遠ざかってしまった。それもあり、私が50分間、一方的に話すような授業をしてしまっては、生徒たちの集中力が持ちません。1年生の測量の授業では、最初にプリントを配布して、生徒たちは教科書を見ながら問題を解く。それから解説する時間になったら、鉛筆などはすべて置かせて聞くことに集中する時間をつくります。この解説時間に画像やスライドを使うのですが、教科書には載っていない最新の工法や器械の値段についての雑談など、生徒が興味を持つような話をしながら聞くトレーニングをしたのち、最後に生徒同士で相談しながら計算問題などを解かせます」

この一連の授業の流れで、山内先生が狙っているのは、生徒たちに興味を持たせること。土木の分野には数学など少々とっつきにくい部分もある。「難しいから嫌だ」ではなく、自由に学ぶ時間を与えることで、生徒たちの積極性を育てたいというのが山内先生の考えだ。

コンクリート特性の理解を促し、コンクリートの基礎について実作業を通して学ぶことを目的に、3年生を対象に11月に実施された「校内コンクリート大会」。生徒たちは3チームに分かれ、課題である「圧縮強度のバラツキが少ないコンクリート」を製作。計量や練り混ぜなどに苦労しつつも、完成した作品を前に「きれいにできとる」と、ものづくりの楽しさを実感したようだ

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