FOCUS

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2019年3月号 No.506

若手入職者の促進が難しい今こそ転職者を視野に入れた入職支援が求められる

昭和38年に設立した、大阪府建団連。建設業に携わる大阪の職人たちが団結し、元請け・下請けの関係適正化や適正価格による受注の確保、専門工事業者の社会的地位向上に取り組んでいます。平成12年の会長就任以来、特に職人の処遇改善を目指し尽力されている北浦年一会長に、関西の建設業における現状と、建設労働者緊急育成支援事業について語っていただきました。

関西の建設業を取り巻く現状は?

 「昨年までは、人材が不足しているという実感はありませんでした」。北浦会長は、関西の建設業界の担い手問題についてそう語ります。その背景には、建設労務単価の引き上げがされたとはいえ、関東に比べると関西はまだまだ単価が低いこと、加えて再びダンピング入札が見られるようになったことがありました。6年後の大阪万博までは職人が足りなくなることはないと予測していたけれど、ここにきて、小さな企業が増えたことにより「人材が育っていないことに危機感を抱いている」と北浦会長はいいます。「今は人をあまりにも軽んじている傾向にあるように感じています。人は勝手に育つものだという風潮が強い。今こそ企業のトップや行政は、人は勝手には育たないという意識を持つべきではないでしょうか。今業界に必要なのは、処遇を改善して人を育てることにお金を出すことだと思っています。進めるべきは建設労務単価の上昇が、きちんと職人に配分されるような処遇改善。具体的には職人の年収を500万円程度にするべく、いち早く手を打つことができたら人が集まる。建設業界にはその魅力がある」と、北浦会長は力強く断言します。

建設労働者緊急育成支援事業の取り組みについて

「人を育てるには、お金と時間が必要だ」という北浦会長は、建設労働者緊急育成事業について「訓練期間中に現場で役立つ資格を取得できるなど、人に投資することを具現化した施策として高く評価しています。また、入職者促進が困難な今の時代にマッチしていると思っています。今は高校や専門学校に求人票を出しても、期待通りに人材が集まる時代ではありません。若い人だけを求めるのではなく、30歳から40歳くらいの転職者に積極的にアプローチするのもひとつの手段ではないでしょうか」とも言います。本事業は新卒者から離転職者までを視野に入れた非常に有意義な施策ですが、2019年度には5か年の計画の最終年度を迎えます。「取り組みが始まった当初はなかなか浸透せず、訓練生確保のための種まき期間が長く続きましたが4年が経ち、ようやく実りかけているように感じます。これを今止めてしまっては、建設業界の、いや国家の損失につながるのでは」と建設業界のこれからを危惧する北浦会長。訓練の現場を支援する各団体からも「訓練生を訓練することは我々だけでもできます。しかし、人を集めることは難しい。何とか人を集める手段だけでも残してほしい」という意見も出ていると言います。事業存続のために、どのような方法があるのか―、今後の検討に期待しています。

建設労働者緊急育成支援事業の訓練風景

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