FOCUS

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2018年9月号 No.501

建設業の次代を担う若い力を求めて高校教職員向け就職説明会を開催

大林組名古屋支店の協力会社で構成される名古屋林友会は、5月16日・24日、愛知県内の高等学校・専門学校等の教職員向け合同説明会を大林組名古屋支店において開催しました。この説明会は新卒人材募集のため年1回開催しており今回で5回目。今年は会員企業のうち12業種・17社が参加し、参加した学校は2日間で16校でした。
当日は会員各社による業務の紹介のほか、若手社員による意見交換や先生方と担当者との熱気あふれる質疑応答などが行われました。


合同説明会プログラム
1.開会挨拶…大林組名古屋林友会会長 伊藤 順一
2.建設業の魅力…㈱大林組名古屋支店建築工事部 梅本 和夫
3.各種業種説明会…林友会協力会社
4.若手社員による意見交換会…林友会協力会社
5.意見交換会および質疑応答…林友会協力会社
6.閉会挨拶…㈱大林組名古屋支店調達部 舩橋 由光

参加企業
【とび・土工工事】㈱伊藤工業/㈲高友/㈱豊徳 【型枠大工工事】大建工業㈱/㈲ホソヤ
【鉄筋工事】原田鋼業㈱ 【鉄筋ガス圧接工事】㈱嘉藤工業所
【塗装工事】㈱飯味塗装工業所/中部岩佐塗装㈱
【左官工事】㈱夏目組/㈱浪花組 【木造作工事】村井工業㈱
【ガラス工事】竹甚板硝子㈱ 【造園工事】岩間造園㈱
【土木一式工事】㈱川口組 【重機土工工事】山㟢建設㈱ 【クレーン工事】㈱ミック

参加校
【16日】私立中部大学第一高等学校/愛知県立佐織工業高等学校/愛知県立豊橋工業高等学校/名古屋工学院専門学校 高等課程/愛知県立三谷水産高等学校/名古屋工業高等学校/大同大学大同高等学校/名古屋市立工業高等学校/豊橋市立豊橋高等学校 昼間定時制
【24日】愛知県立春日井工業高等学校/東海工業専門学校 熱田校/愛知県立半田工業高等学校/豊田大谷高等学校/愛知県立名古屋高等技術専門学校/桜丘高等学校/愛知県立一宮工業高等学校

名古屋林友会 会長 伊藤 順一氏に聞く
リーダーシップを取れる人材の育成に向け就職指導の先生方との交流の場を継続

専門工事業者のほとんどは中小規模。求人票を地域の各高校に送っても、なかなか目を向けてもらえませんでした。建設産業専門団体中部地区連合会で工業高校の先生を集めた現場見学会なども20年くらい前から実施していましたが、あまり私たちの仕事を理解していただけませんでした。
そこで林友会が大林組の重要な協力会社の団体である点をアピールすれば、高校側も受け入れてくれるのではと考え、大林ブランドを掲げて始めたのがこの合同説明会です。そのほか、現場見学や実習の試みが実を結び、現在では毎年15名前後の新卒者が会員企業に就職しています。
一方、愛知県は製造業中心の地域であることから、昨今の景気を反映し、製造業の求人も多くなっている。この中でいかに建設業の魅力を発信し、技術を磨いて自分の腕で食べていける職業の魅力を訴えていくかが課題です。当会では、若手を入れることで「自社で育てた生え抜きのリーダーシップを取れる職人を育てる」ことが、一次会社の務めだと考えています。今回参加された先生方には、説明会で得た建設業の魅力や専門工事業の情報などを、ぜひ生徒や親御さんたちに伝えていただきたいと願っています。

建設業の重要性や参加企業の専門業種について詳しく紹介


大林組名古屋支店 建築工事部副部長
梅本 和夫氏

冒頭、挨拶に立った会長の伊藤順一氏は、「現在330万人いる技能労働者の25%は60歳以上、30歳以下は10%に過ぎない。高齢化が進み若手の担い手確保が急務となっている業界の大きな課題に向け、積極的に若手技能者を自分たちの手で育てていこうと、この説明会を立ち上げた」と会の主旨を説明。続いて、大林組名古屋支店建築工事部副部長梅本和夫氏が「建設業の魅力」をテーマにレクチャーを行いました。
梅本氏は東京スカイツリーや明石海峡大橋など、大林組が手がけた事例を挙げ、建造物ができていくプロセスと建設業の重要さを紹介。また “建設業の魅力”とはすなわち“人の魅力”であり、それぞれの技能者が、お互いに信頼しあえる関係がないと建設はできない。仲間と共に信頼しあってモノを作ることが、建設業の喜びであることを強調しました。
続く「各業種説明会」では型枠大工工事業や鉄筋工事業、ガス圧接工事業など参加した会員企業17社が自社の専門分野である業務について紹介していきました。

入職2年目の若手社員によるリアルな経験


里中  奨さん
(竹甚板硝子㈱/愛知産業大学工業高等学校卒)


高橋 正樹さん
(㈱飯味塗装工業所/愛知県立東海商業高等学校卒)


青山 雅人さん
(㈲アイワ工業/愛知県立一宮工業高等学校卒)

若手社員による意見交換会では、会員企業3社から、それぞれ1名ずつ入職2年目の若手社員が登場。リクルート委員会委員長の清水良祐氏が入社してからこれまでのことを尋ねると、「最初はわからないことだらけでミスもあったが、先輩方がフォローしてくれた。入社1年経ってやっと仕事を任されるようになり、がんばってきて良かった」、「自分の親と変わらない年の先輩には聞きづらいところも。でも勇気を出して質問し、あれこれ教わって、何とか仕事についていけるようになった」と答えていました。
先生からは「離職したいと思ったこと」「辞めずに乗り越えられた理由は」など、さまざまな質問が寄せられ、これに対して社員たちからは、「塗装工は一通り仕事ができるようになるまで3年と言われている。いろいろ経験して職長として現場を仕切れるまでになりたい」、「同時に入職した仲間は辞めたが、辛いのは新しい環境に自分が追いつけていないだけだと考え、まずはがんばろうと自分を奮い立たせるうちに自然と慣れていった」などの回答が聞かれました。
こうした発言に清水氏は、「自分の仕事に興味や意欲を持ち、正面から向き合っている彼らのような若者が私たち建設業を支えています。先生方もぜひこうしたパワフルな人材を、これからも送り込んでいただきたい」と呼びかけました。ある先生からは、「当校は普通科なので、生徒、教員ともに建設業のイメージがつかめていなかった。この合同説明会で建設業にも多彩な仕事があることを知り、これからもこうした場で勉強し、学んだことを生徒たちに伝えたいと思います」と応えました。

建設業に関する活発な意見交換や質疑応答を実施

後半は先生方と林友会側との意見交換会および質疑応答が行われ、就職指導の立場から建設業界をどのように見ているかといった具体的な会話が交わされました。また質疑応答では、建設業の日給月給制、インターンシップ、女生徒の就職問題などの話題が取り上げられ、活発な意見交換がなされました。
意見交換会を終えた先生からは、「自分は建築が専門なので基本的なことは理解しているが、この説明会で細かい話を聞くことで、専門工事業についてより詳しく知ることができました。建設にはさまざまな職種があることを生徒たちにも教え、実習を交えながら視野を広げられるように指導していきたいと考えています」と語りました。

今後も各高校の先生方との貴重な意見交換の場を


大林組名古屋支店調達部長
舩橋 由光氏

最後に大林組名古屋支店調達部長 舩橋由光氏が挨拶に立ち、建設業が社会のインフラ整備や災害復旧、再開発を担う重要な職種である一方、技能者が年々減っている事実を改めて指摘。「建設現場は常に新しい場所で違うモノを作っています。そして苦労して作ったモノだからこそ感動し、また職人同士の信頼関係も生まれる。私たちも建設という仕事の達成感や感動を世の中に訴え、また生産性の向上と総労働時間の短縮による環境改善を通じて、技能者の意欲向上に取り組み、この業界への興味を少しでも上げていくことができればと思っています」と述べ、2時間にわたる説明会を締めくくりました。

 

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