FOCUS
“全力”の背中が導く、地域とつながるものづくり。高知工業高校・建築科が育む、社会に応援される力!
技術以上に大切な
土台を築く
戸田先生の指導の根幹にあるのは、“全力”を尽くすという信念だ。これは、長年指導してきた野球部での経験とも深く結びついている。
「建築においても野球においても、私が伝えることは共通しています。社会に出た時に“応援される人間”になってもらいたい。挨拶や礼儀、相手の立場に立って物事を考える力などは、技術以上に大切な土台です。私自身、野球部での活動において、コロナ禍という困難な状況下でも有観客開催を実現するために奔走した経験があります。情報収集を徹底し、関係各所へ丁寧な説明を行い、周囲を納得させるための論理的な資料作りを重ねたことは、非常に大きな学びとなりました。そうした困難な状況でも創意工夫を凝らし、最後までやり遂げる姿勢を生徒たちに伝えるとともに、生徒以上に全力で取り組む背中を見せることで、彼らとの信頼関係を築いてきたつもりです」。
また、建築科では近年の建設業界の変化に合わせて、地元の工務店と連携し、タブレット端末を駆使した最新の現場管理を体験させるなど、デジタル化への対応も怠らない取り組みを行っている。
「建設業はチームで一つのものを作り上げる、格別な達成感を得られる仕事。そうした喜びや魅力を若い世代に伝えるためには、最新技術に触れる機会を増やすことも有効だと感じています。ぜひとも企業の皆様には、工業高校生と連携した取り組みや、ICT施工現場の見学など、最新の現場事情を知れる機会を今以上に増やしていただけたらと思います」。
未来を担う人材育成に
“全力”を注ぐ!
2026年4月より、戸田先生は17年教員として過ごした同校を離れ、県教育委員会へと異動する。そこでは高等学校課指導主事として、採用1年目の教員などの指導・育成にあたる重要な役割を担うことになる。
「異動のお話を伺った時は大変驚きましたが、より広い視点から高知県全体の高校教育を支える役目ということで、しっかり責務を果たしたいと感じています。現在、多くの優秀な生徒が、より広いフィールドを求めて県外の企業へ目を向ける傾向にあります。それ自体は素晴らしいことですが、故郷に残って活躍してほしいという想いもまた正直なところです。地域と一体になり、この街を作っていきたいと若い方々に思ってもらえるような、魅力的な取り組みを考えることが私の新たな挑戦です。新任の先生方を指導する際も、“全力”の想いをベースに、現場の熱量を絶やさないようにしたい。場所は変わっても、生涯現役の教育者として、地域の未来を担う人材育成に邁進する覚悟です」。
教え子たち、そして未来の担い手たちへエールを送る戸田先生。その瞳には、場所が変わっても揺らぐことのない教育への情熱と、地域への深い愛が宿っている。

実習で木材と向き合う生徒たち。「実際に建築物を手掛ける現場では、教科書通りの手順だけでは進まないもの。次の作業を予測して動いたり、予期せぬ加工ミスをカバーしたりする柔軟な対応力などが求められます。こうした実地訓練を繰り返すことで、生徒たちの内面には社会人としての確かな“先を見て動く力”が育まれていきます」。

高校創立100周年記念の一環として製作された野球部部室は、土木科が基礎を打ち、建築科が上物を建て、電気科が配線を、総合デザイン科が家具を担うという学科横断型のプロジェクトにより生まれたもの。各科の専門技術が集結し、仲間を想う熱意が形になった建物は、同校が誇る多角的な技術力と団結力の象徴としてグラウンドに佇んでいる。
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雲の上の図書館
建築家・隈研吾氏による設計が施された『雲の上の図書館』は、開放的な空間と地元産の木材をふんだんに使用しているのが特長。内部に一歩足を踏み入れれば、木組みの圧倒的な迫力と木の香りに包まれます。「建築科の生徒が毎年校外実習で訪れる、高知県高岡郡檮原町にある図書館です。伝統的な木材活用と現代デザインが見事に融合した建物で、生徒たちにとっても建築の可能性を五感で体験できる教材と言えます」。 |


高知県立高知工業高等学校
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