FOCUS

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2025年4月号 No.567

夢を語り、未来を築く。生徒とともに歩む建築教育の現場!

3D技術やBIMを
生徒の力に!

現場で用いられている最先端技術の学びも進めている同校。重久先生が担当するのは、3D CADや3Dプリンター、BIMなどのデジタル建築教育の分野だ。

「実際の建築設計では3Dでのモデリングやシミュレーションが主流となっているため、生徒には在学中からBIMなどの基礎を学び、卒業設計はもちろん、進学先や就職先などでも活かしてもらいたいと思います」

授業や実習では、フリーで利用できる3D CADソフトを用いて、生徒が自由課題に取り組む機会を設けている。「まずは自分たちが興味のあるもの、好きなものを手掛けるよう促しています。現実的なものを作る生徒から、趣味を全開にしたものづくりに取り組む生徒まで様々ですが(笑)、それぞれが楽しみながら学んでいけるため、理解も深まりやすいです。まだ実現はできていませんが、いずれは普通科の情報コースと建築科で連携し、モデリングした世界でVR体験ができるような、近未来的な楽しさのある授業なども展開できたらと検討しているところです」

顧問を務める建築デザイン部の活躍にも期待を寄せている。

「建築デザイン部は高校生建築競技設計をはじめ、大学主催のコンペなどにも挑戦するなど、日々技術の向上に努めており、令和6年度の全国高校生建築製図コンクールにおいても入賞者数全国1位という結果を残すなど、生徒たちの努力が実を結んでいます。地域の課題を発見し、その解決策を提案する練習を重ねていることがこうした成果につながっているのだと感じており、これからも練習に励み、より自分たちの満足いく結果をつかんでくれたら嬉しいです」

 

夢を持ち、語れる
ものづくり人へ!

生徒には、高校生活を通じてコミュニケーション力を身につけてほしいと話す重久先生。

「高校は知識や技術だけでなく、コミュニケーションを学ぶ場でもあります。クラスの生徒も社会と同じく、一人ひとりで性格や個性が異なるもの。そうした環境の中で人と話し、接することができる能力をしっかりと育んでもらいたいと思っています。授業ではクイズ形式も取り入れており、互いの実力を競い合ったり、ときには周りと教え合ったりする中で、コミュニケーション力を育んでほしいです」

その胸にあるのは、生徒に “夢物語”を語れる人間になってほしいという想いだ。

「“夢物語”というのは、高校生の頃の恩師から受け継いでいる言葉です。夢を語れないと目標が定まらず、仕事のモチベーションも上がりづらいもの。建築を含めたものづくりに携わる人間であればなおさらです。BIMやドローンといった最新技術も、以前は“こんなものがあったらいいな”という夢物語の一つだったはずですが、今では実用化され、現場でも大いに活躍しています。教え子たちにもぜひ、夢を追い、物事を深く考え、語れる人物になってほしいです!」

 


歴史的建築物『萬翠荘』や重要伝統的建造物保存地区『内子の町並み』を模した、本物と見紛うような建築科の卒業制作。「本校が大切にしているのは“地域に寄り添う”こと。改修や経年で形を変えてしまう建物なども、模型として残し、それを地域に寄贈することで未来に継承することができます」

 


BIMを活用した取り組みに様々な可能性を感じている重久先生。「BIMで管理されたデータは二次元コードからもアクセスして見ることができるため、中学生や保護者の方などにも本科の取り組みを示すことができます。いずれは本校の校舎もBIMでモデリングし、校内の案内などに使っていけないかと思案しています」

 

道後温泉本館

小説などでも取り上げられる松山市のシンボルであり、日本最古の温泉とされる道後温泉を象徴する存在でもある道後温泉本館。地元の人々はもちろん、観光客にも広く親しまれている国の重要文化財です。「私が本校に着任した際には、まだ大規模な保存修理工事の真っ最中でしたが、2024年夏にリニューアルし、全館営業を再開しました。県外の方にも改めて注目してもらいたい建物です」

 

 

学校法人松山聖陵学園 松山聖陵高等学校

〒791-8016 愛媛県松山市久万ノ台1112
WEB:https://matsuyamaseiryo-h.ed.jp/

 

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