FOCUS
ものづくりの楽しさを通じて、学びや意欲を深めたい。“誠実”を胸に、地域に貢献する土木技術者を育むベテラン先生。
開校84年目を迎えた、“釧工(せんこう)”の愛称で親しまれている北海道釧路工業高等学校。『誠実・勤勉』を校訓に、道東地域(北海道東部)の拠点校として2万人超の卒業生を輩出してきた同校では、ものづくり教育を通して日本の将来を担う人材の育成を図っています。地域人口や生徒数の減少などの課題と向き合いながら、どのような取り組みと想いで生徒の学びを支えているのか、土木科の畠山先生にお話を伺いました。
地域を支えていく技術者を地域とともに育む
全国各地・各業界で活躍する人材を輩出している同校。地域やOBによる手厚いサポートも、生徒を支える大きな力となっている。
「地元・釧路の建設業協会や企業の皆さまの長年にわたるサポート、そしてOBの皆さまのご協力のもと、生徒の学びや意欲を育む様々な取り組みができています。例えば1年生を対象とした現場見学会では、北海道横断自動車道(道東自動車道)の現場に伺い、最新の測量体験やOBの方による講話、グループディスカッションなどで建設業を知る貴重な経験を積むことができました。また2年生対象のインターンシップにおいても、多くの企業に受入れていただいています。3日間を通してOBの方々に指導していただくことで、改めて建設業を目指す意識が生まれるとともに、卒業後はその企業に就職する生徒も出てくるなど、非常に有意義なものとなっています。私がこれまでにクラス担任として受け持った生徒たちの多くも、そうした経験を経て土木関係の道へ進み、第一線で活躍して地域を支えています。生徒の就職先につながっていることも含め、支えていただいている皆さまには感謝しかありません」。
そうした明るい話題の一方で、同校においても生徒数の減少という問題に直面している。
「道東地域の人口減少に伴い、本校においても生徒数の減少が顕著です。本校だけでなく、道内・全国各地域の工業高校が地域とのつながりを大切にしながら、いかにその学校ならではの魅力や特色を打ち出していけるのかが大きな課題です。以前と比較して生徒・保護者ともに地元志向が強くなっている中で、今後も地域に求められる土木技術者を多く輩出し、暮らしに貢献できる工業高校でありたいという想いのもと、職員一丸となって取り組んでいます」。