FOCUS

FOCUS
2023年9月号 No.551

地域課題の解決を通して生徒の力を伸ばす! 新たな担い手たちを育む、あくなき思い

東に紀伊水道、南に太平洋が広がる四国最東端の都市、徳島県・阿南市。徳島県立阿南光高等学校は、2018年4月にこの地の2つの高校の再編統合により開校した、徳島で初となる農工商が一体化した専門教育を行う高校です。地域の未来を創造する力の育成をスクールミッションに掲げ、特色ある教育を展開する同校の取り組みについて、都市環境システム科科長・河野竜一先生に伺いました。

農工商一体のメリットを活かした
特色ある取り組み!

宝田キャンパスと新野キャンパスという2つの拠点を置く同校。

「宝田キャンパスは、都市環境システム科を含めた工業科及び産業創造科の学び舎としています。一方、新野キャンパスは徳島大学サテライトキャンパスと位置づけ、高校と大学・企業などが連携して研究開発や実験を行う拠点。昨年からは工業科の生徒も、新野キャンパスで開催しているマルシェに参加し、地元企業さまと連携して間伐材を使った木工作品のワークショップや販売のお手伝いなどを行っています。工業科の実習のみでは経験できないことに触れ、コミュニケーション力を育んだり、地域の魅力を再発見できたりすることも、農工商一体化のメリットです」

徳島県が定める『スーパーオンリーワンハイスクール事業』(特色ある教育活動のレベルアップやグローバル人材育成を図った支援事業)の指定校にも選ばれた同校。その取り組みも特徴的だ。

「阿南市は県内有数の筍の生産地なのですが、近年は安価な輸入筍の増加や生産者の高齢化、後継者不足などにより里山が荒廃し、大きな課題となっています。これを受けて本校では地元NPO団体と連携し、市内の放置竹林の伐採や、伐採した竹を活用したものづくりに取り組みました。本校が市の指定緊急避難場所でもあることなどから、防災用懐中電灯や移動式かまど、携帯型バイオトイレなどの防災用品を製作したほか、昨年からは他学科と連携して竹パウダーを使った水稲栽培、キノコの菌床栽培実験や竹水の研究開発を行うなど、竹を多目的な農業資材として活用し、放置竹林問題に取り組んでいます。今年度からは『スーパーとくしまGXスクール指定校事業』(大学などと連携しながらSDGsの学習に先進的に取り組み、その成果を他の学校に広く普及させることを目指す事業)としての活動へと移行し、そうした取り組みを継続的に実施しています。生徒たちも楽しみながら臨んでおり、全国の産業教育展でのプレゼンテーションの場などもあるため、活動を通して大きな成長を感じられます」

 

1 2

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら