FOCUS

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2023年2月号 No.545

感覚を研ぎ澄ませ、いきいきと活躍する技術人へ!積み重ねてきた経験をもとに多くの未来の力を育成

九州の陸路交通の要衝・鳥栖市において、創立以来80年以上の歴史を刻んできた佐賀県立鳥栖工業高等学校。伝統校ならではの基礎・基本を重視した教育と、最新の機材・機器を活かした実習などを融合し、広い視野と豊かな創造力、意欲とたくましさを備えた、社会に貢献できる工業技術人の育成を図っています。その取り組みや次世代の担い手を育む想いについて、土木科科長の池田隆徳先生に伺いました。

地域を支え生徒を育む、
魅力発信にもつながる地域貢献活動

コロナ禍においても就職率・進学率100%を達成している同校。入学時には自身の未来を漠然としか想像できない生徒たちも、同校の取り組みを通して具体的な将来像を描けるようになっていくようだ。

「本校では1年生時から進路を考える時間を重視し、“職業人インタビュー”を行っています。これは生徒自身が身近で働いている方などを対象に、仕事のやりがいや働く意義などを聞き取り、その声をまとめて発表するというもの。どのような仕事にどんな気持ちで取り組んでいるかを理解することで、生徒自身も将来像を具体的にイメージしやすくなります。その他にも現場見学会や工場見学会など、現地でのリアルな様子を見せることに特に注力しています。本校は地元企業に勤めるOBとのつながりも強く、そうした取り組みにも快くご協力いただけています」。

生徒たちの進路を力強くバックアップする一方、全国の工業高校同様、入学志願者の減少を大きな課題と見すえる同校。工業高校の魅力を伝える意味でも、地域への貢献活動を大切にしているそうだ。

「ものづくり技術を活かした地域貢献活動が、工業高校や土木の魅力を伝えることにもつながると感じています。本校ではその取り組みの一つとして、土砂災害により利用できなくなった鳥栖市内の四阿屋(あずまや)遊泳場の復元作業を行いました。流れ込んできた岩石や土砂を撤去して整地をしていく地道な作業でしたが、地域の方に喜ばれると同時に、工業高校や土木の役割を示す機会にもなったかと思います。生徒にとっても“生の現場”を体験できる学びの場になりましたね」。

池田先生自身も地域の中学校へ進学説明会を行い、同校の役割や魅力を伝えている。

「単に土木という言葉だけでは具体的な仕事像をイメージしづらいため、説明会ではいつも“今朝起きてから今まで何をしましたか?”と質問しています。そうすると皆、朝起きて電気をつけて、顔を洗って、ごはんを食べて…といった行動をしているもの。そうした日常生活を支えるインフラを築き、守っているのが土木という仕事だと伝えると、生徒だけでなく保護者の方にも理解してもらいやすいです」。

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