FOCUS

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2022年11月号 No.543

「道を究める」プロフェッショナルへ!現場で活躍する力を育む取り組みとは?

かつて海軍の軍港として栄え、現在は国際色豊かな港町として知られる長崎県佐世保市。この町で開校60周年を迎えた長崎県立鹿町工業高等学校は、「われ共に学びて 道を究めん」を校訓に生徒・職員が一丸となって学びを深め、資格取得や部活動に意欲的に取り組む工業高校です。地元をはじめ、九州や関西、関東と幅広いフィールドで活躍する卒業生たちを輩出する同校について、土木技術科の豊村先生にお話を伺いました。

実践的な基礎・基本を重視した
独自の取り組みで生徒を育む

キャッチフレーズである『汗を流して半人前、腕を磨いて一人前、道を究めて男前』という言葉が印象的な同校。離島の多い長崎県内で唯一の学生寮を備えた工業高校であり、遠方から入学する生徒の受け皿にもなっている。独自の取り組みの一つが『鹿工訓練』だ。

「授業前や実習前に行っている取り組みが『鹿工訓練』です。これは人員点検や指差呼称での安全確認、体調確認やゼロ災害宣言など、また土木であれば夏でも長袖・ヘルメット・安全靴といった服装点検など、実際の現場で行われている集団行動を取り入れた訓練のこと。卒業後、すみやかに職場に適応し、現場へと出られる能力の育成を見すえています。こうした実践的な取り組みとあわせて、朝の15分間を数学や英語などの学びにあてた『アサカツ』という時間も取り入れ、就職試験に対応できる基礎学力の向上や、国際社会の中で活躍するための英語力の向上などを図っています。本校の生徒は総じて素直で、実習も真面目に取り組みますが、中には勉強が苦手な子もいます。『アサカツ』はそうした生徒たちの学力をフォローするとともに、全体の力を引き上げていくことが狙いです」

これらの取り組みの成果は、就職率・進路決定率ともに100%という数字にも表れている。さらに補習とあわせて面接練習にも注力していることが、優れた数字につながっているようだ。

「面接練習では、面接官となる職員7名のうち5名以上から合格をもらうことを条件としています。最初はうまく話すことのできない生徒も、練習を重ねる中で視線や声の張り、話し方などが向上します。成長していく様子を見るたび、感慨深いものがあります」

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