特集

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2021年9月 No.531

建設産業女性定着支援ネットワーク~働くすべての女性が「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる、建設産業へ~

建設産業における女性の定着の推進役としての期待

前国土交通省 不動産・建設経済局 建設市場整備課 課長補佐 河村 直哉

まずは、皆様方を含め、新型コロナウイルス感染症の流行の中、最前線で地域に貢献する建設産業従事者の方々に改めて感謝申し上げたいと思います。建設産業の就業環境については、かつて3K(きつい、危険、汚い)と呼ばれた時代から大きく改善しているという声を多く聞きます。働き方改革に関する法制度の整備も進み、令和6年4月から、罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されます。

このように、業界全体で働き方改革が進んでいる中、女性の活躍・定着に向けた取組はその一丁目一番地であると言えます。男性が気づかない現場の改善点に気づく、新しいビジネスアイデアが生まれるなど、女性活躍・定着の取組は、誰もが働きやすい環境整備につながるばかりでなく、企業の生産性の向上にもつながると考えています。

しかしながら、女性活躍の面では、日本は未だ「後進国」であると言えます。残念ながら建設業は、未だ女性の入職が特に遅れている産業の一つです。一方でこれは言葉を変えると、建設業が更に魅力のある産業に変わる大きな可能性がまだ残されている、と言うこともできます。

建設産業における女性活躍・定着の取組については、平成26年度に、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」が策定されたのち、令和元年度の「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」の策定とともに「建設産業女性定着支援ネットワーク」が、全国で女性活躍・定着に取り組む皆様方のつながりの場として、新たに動き始めたところです。

日本型の働き方や慣習を変えていくには、全国でその機運を高めていくことが必要です。日本全体として、テレワークの普及やハンコ文化の撤廃など、「古い働き方」は徐々に変わってきています。その中で、建設産業が「遅れた産業」とならないように、女性、そして全ての方が働きやすい建設産業にこの業界を変革していければと考えており、「建設産業女性定着支援ネットワーク」がその中心としての役割を発揮されることを期待しております。

 

「働きがい」と「働きやすさ」の両立に向けて

建設産業女性定着支援ネットワーク
幹事長 須田 久美子

建設産業は男性の職業といったイメージが根強く、他産業に比べて女性の進出が極端に遅れています。建設に「働きがい」を感じ職業として選択しても、「働きやすさ」を実感できずに孤軍奮闘している女性が全国各地にいます。令和2年(2020年)1月16日に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」(以下、新計画)が策定され、建設産業で働く女性達を応援する取組を全国に根付かせることが取組の柱の一つになりました。都道府県単位で「女性定着」&「業界の意識改革」に向けた活動をしている団体の「建設産業女性定着支援ネットワーク」への加入をすべての都道府県で目指すことが官民挙げた取組目標に明記された意義は大きいと思います。

策定経緯を振り返ると、平成26年(2014年)に遡ります。国土交通省と業界5団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会、全国建設産業団体連合会)が共同で「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し、建設業の女性技術者・女性技能者の倍増という目標が掲げられました。そうした中で、技術者・技能者だけでなく、建設業経理士のような事務職や経営者など建設産業で働くすべての女性を対象に「建設産業女性活躍推進ネットワーク」(以下、旧NW)が発足しました。

新計画は国土交通省・業界5団体に加えて旧NWが共同で策定し、建設産業を取り巻く環境の変化に対応しながら、「働きがい」と「働きやすさ」の両立を目指し、3つの柱(環境整備、女性に選ばれる建設産業、取組を全国に根付かせる)と官民挙げた取組目標が設定されました。新計画の策定に合わせて、取組の趣旨と姿勢を明確にするため旧NWは「建設産業女性定着支援ネットワーク」に改められ、新たなスタートを切りました。

新計画が策定された2020年を「建設産業女性定着元年」とし、新型コロナ禍で活動の制約を受ける状況ではありますが、形式をリアルからオンライン&オンデマンドに変更して全国大会を開催しました。WEBプラットフォームの充実で登録団体間の情報共有・連携を促進し、広く建設産業の女性をアピールできるようになりました。

建設現場の隅々まで「働きがい」と「働きやすさ」が両立できるように、誰一人取り残すことなく全国津々浦々で孤軍奮闘する女性の力になり、女性定着の実現と業界の意識改革に向けて官民挙げて取り組んでまいります。引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

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