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特集

特集
2017年10月号 No.492

建設業の技術者

虎ノ門トラストシティ ワールドゲートの現場技術者に聞く「建設技術者のしごと」―

お客様の「ありがとう」に感じる喜びは
建設技術者ならではの醍醐味

何もなかった土の上に1本の杭が打ちこまれ、やがて大勢の人々や資材が集まり、力強い重機の音と共に真新しいビルが立ち上がっていく。現在、東京港区で建設が進む地上38階建ての高層ビルの現場で活躍する、ベテランと若手、2人の技術者にお話を伺いました。

プロジェクトの成否は「人の和」で決まる


清水建設株式会社 東京支店 建築第二部 工事長
野田 衛さん

野田さんは、入社して23年目というベテランの技術者です。これまでも東京千代田区永田町の超高層ビル「山王パークタワー」や、3019枚ものガラスを使った巨大な建築で知られるJR金沢駅東口の「もてなしドーム」など、いくつもの大型プロジェクトを経験してきました。中でも印象に残っているのは、16年間勤務した北陸支店で手がけた大手酒造会社の工場群です。
「そこでは、私たち建設会社と設計事務所、そしてお客様である酒造会社の3社が、分野は違えど、お互いをものづくりの専門家として尊重し合い、三位一体となって協力しながらプロジェクトを進めていく経験を通じて、技術者としてだけでなく人としても大きく成長させてもらいました」。
現在の現場では、工事長として担当工区に関わる社員や協力企業を束ねる立場にあります。野田さんは立場の異なる大勢の人々が集まる現場では、人の和(チームワーク)が何より大切だと言います。
「QCDSE(品質、コスト、工程〈工期〉、安全、環境)の5つのバランスを取りながら、各人が良い仕事ができるように目配りをしていきます。プロジェクトを良くするのも悪くするのも、現場のチームワーク次第です」。
そのために心がけているのが、各協力業者の職長とのコミュニケーションです。
「この現場の作業員は、現在250名、ピーク時には1,500名を超えます。これだけの人数を工事長だけでまとめるのは不可能です。各グループや協力会社の職長と信頼関係を結び互いに敬意を払い、手を取り合うことができてこそ、前に進めるのです」。
ここでは周辺の地下水を下げながら地下22mまで地盤を掘り下げるために、60mという異例の深さの山留め壁を設置するなど、他では例を見ない高度な工法が使われています。また地下水を下げるために汲み上げた水は、浄化した上で地中に戻すなど、環境にも十分配慮しています。
「日々こうした課題や最新技術と取り組むのは苦労もありますが、建設業は一品生産。どんなに技術が進歩しても建築物を形にするときは『自分たちの意志』がないと完成しません。そしてすべてが完成してお客様や工事に携わった方々から『ありがとう』の声をいただけた瞬間、すべての苦労が吹き飛んでいきます。この醍醐味はベテランも新人も同じ。少しでも建築に関心のある若い人が、この建設技術者ならではの喜びを味わってくれることを願っています」。


一人で何でもこなした経験が成長の糧に


清水建設株式会社 東京支店 建築第二部  
山岸 拓矢さん

若手技術者の1人である山岸さんは、今年で入社5年目。小さい頃から、建設現場で働く父親を格好いいと思っていたと話します。建設技術者という進路を意識したのは大学進学のとき。得意の理系科目を生かせる就職先を考えたときに、建築というキーワードが浮かんできました。
「最初は設計をやりたいと考えていたのですが、大学で勉強するうちに、実際に建物を作っていく現場監督に興味を持ちはじめたのです。私も父親と同じように現場の第一線に立って建物を作りたいと思い父に相談したところ、大変な仕事だけれどやりがいのある仕事だと言われ決めました」。
清水建設に入社して最初に配属されたのが、関東支店の群馬営業所。さっそく5階建ての病院の建設現場に入ったものの新入社員ゆえに右も左もわからず、しかも社員が3人しかいない現場だったので、先輩が手取り足取り教えてくれる余裕もなかったとのこと。
「まず自分で考えて、聞いて、手探りで進むしかありませんでした。でも今振り返ると、自らすすんでいろいろなことを調べて覚える経験ができて良かったと思っています」。
知らず知らずのうちに現場の仕事全体を見る経験を積んだおかげで、2年目以降は自分が主動となって現場を動かしていけるようになったと山岸さんは語ります。
そんな山岸さんが座右の銘としているのが「現状維持は退化である。」という高校の野球部の先輩の言葉だ。この言葉を常に意識し日々現場に挑んでいる。
現在「虎ノ門トラストタワー」で担当しているのは、地下4階の床を地上で作る作業です。あらかじめ床を地上で作ってストックしておき、必要な時に地下に降ろしていけば、効率よく作業が進められます。こうした作業は初めてですが、予期せぬ問題が出てきたときも、やはり群馬での経験を生かして、そのつど解決方法を探りながら進めているといいます。
これから建設の仕事に進もうと考えている若い人に一言アドバイスを、とお願いしたところ、「様々な職種の人と協力して建物を作り上げていく仕事なので、コミュニケーションを大事にする人は、建設の仕事に向いていると思います。また私自身も先輩方にいつも言われることですが、お客様は私達を信頼して仕事を任せてくれているのだから、こちらも妥協せず良いものを作る義務がある。そういうプロとしての意識をこれからも持って建物を作り上げていきたいと思います」。

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