特集

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2018年9月号 No.501

地域建設業に・効く・i-Construction 調査結果について

事例紹介
地域建設業に・効く・i-Construction

ここではi-Construction(生産性向上)を「情報化施工、人づくり、地域づくり、多様性」の4つに区分し調査した結果をご紹介します。

情報化施工

事例1
IT技術をコアに社員の技術力向上と自由な発想による経営を推進
松原建設株式会社(富山県富山市)

  • 4代目となる現社長がテレビ業界で技術者として働いた経験、IT 知識を活かし、経営改善に取り組む。
  • ICT(ドローン3D測量、ICT建機等)、原価管理など各種経営マネジメントで、現場の負担軽減、女性が働きやすい環境の整備などを実施。

事例2
無人化施工、CIMを手がけ、ドローン技術で富山県内ナンバーワンを目指す
松嶋建設株式会社(富山県中新川郡)

  • 立山砂防ダムの維持管理事業で培ったCIMのノウハウを活用して、ドローンによる撮影映像を利用し、発注者、工事関係者、地元住民等への「わかる化」に取り組む。
  • 過疎化地域での建設産業に問題意識を抱く全国の仲間と連携し、積極的に先進技術についての情報交換会・勉強会・講習会を実施。

事例3
伝統技術と新技術で工事現場におけるオールラウンダーを育成中
株式会社奥野組(岡山県岡山市)

  • 事業承継時、経営は危機的状況に。従業員と積極的に意見交換を活発化し、公共工事に事業領域を限定し、技術力の向上と地域貢献に努力。
  • 石積工法の伝統技術の保持と新技術をあわせ持つ人材を育て、難工事を高い技術力で完遂することで次の仕事につなげる好環境を実現。

事例4
デジタルに詳しい経営管理者のリードでCIM等のICT施工を強化
可児建設株式会社(愛知県小牧市)

  • 事業継承時は、経営危機状態。ノウハウや情報が特定の個人に依存しており、退職に伴い大混乱。他社から技術部長を招聘し生産性向上のため情報化施工を導入。
  • 映像CIMによる安全管理や品質確保、施工の可視化、保有技術の知的財産化などを実施した結果、工事成績評定で高得点を得るまでに成長。

人づくり

事例5
高松市の内装・設備会社が共同運営する内装業に特化した訓練機関
一般社団法人 職人育成塾(香川県高松市)

  • 職人の高齢化と減少に危機感を抱いた創立メンバーが、専門工事業である内装業に特化した訓練機関として平成28年に設立。講師は育成塾賛助メンバーの企業に所属する職人が担い、後継者育成に取り組む。
  • メンバー9社の資金と助成金を主な運営資金に、約2ヵ月間の技能研修を行い、塾生の希望に応じて内装・設備の就職先紹介を実施。

事例6
入職1年目の若手から外国人技能実習生まで幅広く受け入れて教育
一般社団法人 利根沼田テクノアカデミー(群馬県沼田市)

  • 建設産業の人材育成を短期間で即戦力化する教育施設。地方都市活性化、遊休施設の活用。キャリア形成助成金を活用し8年前に開校。(訓練校としては平成28年4月開校)
  • 専門工事業の入職者が対象。3ヶ月のoff-jtと5ヶ月の企業でのojtで構成。瓦、建築板金、大工技能、設備技能の4コースを設定。

事例7
中学校卒業以上を対象に技能習得から人格形成までを一貫して支援
匠の学舎アカデミー(香川県仲多度郡)

  • 5年間の修学期間を持つ本格的な育成施設として平成28年に開校。幅広い職種(大工・左官・型枠職人・鉄筋・内装ほか)の技能習得を座学・実地で実施。グループ会社の実習あり。
  • 生徒募集について、建設産業界で賛同してもらえる企業を全国から募集中。

事例8
「温故知新」をうたう老舗の瓦屋が開発したプレキャストシステム
株式会社マツザワ瓦店(愛知県名古屋市)

  • 5代続いた老舗の瓦屋さん。高齢化している職人に対応し、プレキャストシステムの商品を開発。高齢者が高い屋根に登らなくても、工場の中で仕事ができるように対応。
  • 瓦工事業における工程管理ソフトを開発し、職人や資材の原価管理等を徹底。

地域づくり

事例9
地元密着型の建設サービス業と原価管理意識の徹底で経営を改善
株式会社小坂田建設(岡山県岡山市)

  • 倒産の危機を契機に外部の専門家のアドバイスを受けながら経営再建に取り組む。原価管理システムを導入し、社員一人ひとりのコスト意識を徹底。
  • 過疎化が進む地域で住人とのコミュニケーションに注力。土木工事だけに限定しない建設サービス業としての認知を獲得し、新しい市場を開拓。

事例10
工程管理&原価管理による安定経営を通じて「稼ぐ力」をつける
株式会社石岡組(北海道松前郡)

  • 公共投資の減少と共に利益が減り、従来の「とにかく仕事をとって無事に完成させる」経営では立ち行かないとの危機感を覚えていた。
  • 工程管理を導入して2年がかりで構造改善を実施。さらに原価管理や現場代理人会議による情報共有会議などのマネジメントを基盤に、安定経営を実現した。
  • 近年では映像CIMを取り入れ、見える化をより推し進めている。

事例11
「社員・家族・地域を守る」を合い言葉に地域密着サービスを展開
作東土木運送株式会社(岡山県美作市)

  • 過疎化地域の建設産業として、親元を離れて暮らす人たちに向けインターネットサービスマッチングサービス「ふるさと見張り番」を展開。地元の空き家や休耕地、墓所の見回り管理代行サービスなどを幅広く実施。
  • 原価管理ソフトの活用でコスト削減を実現。最新技術や新資材、機械の情報入手など、建設産業として、次世代に向けた事業展開を実施。

多様性

事例12
タテ割り社会を脱した新しい職人のあり方をブランディング
株式会社KMユナイテッド(京都市下京区)

  • 外装・塗装業の会社が「既存の体制では時代に追いつけない」と考え、新たな事業スキームで塗装・左官・内装業に特化した職人の育成・供給事業の会社を設立。
  • 3年間で親会社の塗装会社で一人前に活躍できる職人育成プログラムを開発。職人のタテ社会体質を見直し、人事制度改革や女性参画機会の拡大を図る。

事例13
職人の待遇改善と生産性向上を両立させながら事業規模を拡大
株式会社菅原設備(愛知県津島市)

  • 愛知県全域の水道工事指定工事店許可を取得。建設産業特有の不安定な勤務形態や、日給月給、社会保険未整備などを改善し、職人の待遇改善と生産性向上のバランスを見極めながら水道設備の新規開拓に挑む。
  • 新しい時代に即戦力となる人材を確保するため、外国人実習制度を活用した採用や、女性の現場監督採用にも力を入れ、教育の充実や人材育成にも注力している。

事例14
独自の経営ポリシーで専門性を高め工事測量で高い評価を確立
株式会社コイシ(大分県大分市)

  • 工事測量分野で独創性のある経営を推進。早くからIT化に注目し、3Dソフトの開発や商品開発を手がけ、ドローンを活用した測量技術も開発。九州北部豪雨の福岡県朝倉地区では3D測量を実施。
  • 女性は能力が高く優秀であるという社長の信念のもと、製図や図面確認、CADスタッフとして地元の主婦パートを多く登用。育児優先のフレックス制や子供同伴勤務を実施。

事例15
「社会に役立ち、なくてはならない存在になる」ための人材育成
株式会社フクザワコーポレーション(長野県飯山市)

  • 平均年齢34歳。若手社員の育成と技術力向上に着手。社内教育制度を充実させ高い技術者集団を実現。毎年、リクルート資料にも掲載される企業ブランドを確立。
  • 現場の声を受け、工事写真管理や除雪日報自動作成など、情報化施工システムを開発。現場技術者の事務処理を女性社員がきめ細かくサポートする。

報告会登壇者および参加者のみなさん

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