特集

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2018年2月号 No.495

建設企業が行う工業高校生採用活動の取り組みについて その2

はじめに

前号では工業高校生の採用活動について、建設企業の取り組みや工業高校の進路指導教諭のニーズを紹介しましたが、本号では、就職活動中の工業高校3年生と卒業式が終わり入職前研修を受講中の工業高校等卒業生の2グループに対して実施したアンケート結果と高校生に対する求人ルールについて紹介します。

高校生へのアンケート調査の概要
  1. ヒアリング調査を行った工業高校のうち3校にご協力をいただき、求人解禁日後の3年生111名を対象に、企業の情報収集の時期や内容、就職希望先を決めるときに重視するポイント、就職活動の際にほしい情報などを調査した。
  2. 建設企業に内定した高校生を対象とした入職前集合研修(平成29年3月実施)の参加者115名を対象として、アンケートおよびヒアリングにより調査した。
    (注)グラフ等に「内定者調査」と表記

I 高校生の意識(アンケート調査結果から)

1 就職志望の産業と志望の意識時期、その動機

今回のアンケートは東京都と神奈川県の工業高校の建設系3年生を対象に7月から9月の間に実施したこともあり、就職志望の産業は「今、行こうとしている産業」をあらわすものとなった。図1参照
また、就職先の産業をいつから意識したかの問いに対しては、「小学校以前」7%、「小学校から」11%、「中学校から」30%となり、工業高校に入学する時点で約半数の生徒が将来進む産業を意識し、残りの半数が高校入学後に就職したい産業を決めている結果となっている。高校在学中に行われる産業や職種を理解するための機会の重要性を改めて感じる結果となった。図2参照
志望産業で働きたいと思ったきっかけについては、「親や親戚がやっているから」の回答が多いが、これは高校入学前に約半数が就職する産業を意識している結果にもつながっていると考える。回答の多い順で「社会の役に立ちたいから」「手に職をつけたいから」「お金を稼ぎたいから」「ものを作るのが好きだから」と続いている。図3参照

 

2 就職活動のスタート時期と情報収集の手段

就職活動については、P.6〜7に掲載した進路指導の流れに詳細を記載しているが、学校側では入学早々から始まる進路指導や2年次等で行われる現場見学会、インターンシップなど、さまざまな取り組みにより就職の意識づけを行っていることなどから、アンケート結果からも「高2以前から情報収集を行っている」が26%、「高3になってすぐ」が51%と高校3年の求人活動開始日(7月1日)以前に就職活動を意識し情報収集を始めていることがわかった。図4参照
また、その際にどのような機会や方法で調べたかについては、「昨年の求人票」が最も多く、続いて「ホームページ」となっている。毎年、継続して求人票を出していくことやホームページを整備することの重要性を示す結果となっている。図5参照
その際の「情報収集した会社数」については、「2社」が最も多く、「4社以上」「3社」と続いているが、複数企業を比較検討したうえで企業を選定している結果となっている。図6参照

 

3 就職希望先企業を決めた時期と求人票で見るうえで重視したポイント

「解禁日(7月1日)の段階で入りたい会社が決定していたか」の問いに対して、「決まっていた」と回答した生徒が44%となっており、約半数近くの生徒が昨年の求人票の情報等をもとに、解禁日の時点ではすでに意思決定を行っていることがわかった。図7参照
また、求人票を見るうえで重視するポイントとして、最も多い回答が「勤務時間・休み」。次いで「給与(年収)」「勤務する場所」となっている。図8参照

 

4 就職希望先の企業について

「就職希望先の会社を選択したのは誰ですか」の問いに対して、「自分」との回答が約70%となっているが、入職前研修に参加した内定者に対して、同様の趣旨の「就職意思決定の影響者」を3つまで回答してもらった結果は、「担任の先生」、「保護者(父親)」、「保護者(母親)」、「進路指導の先生」の順に多い結果であることから、就職先の選定過程においては、「学校の先生」や「父親や母親」に相談しつつも、最終的に決めたのは「自分」であったということが推測される。図9、10参照

 

5 就職活動中に知りたい情報

「就職活動をしていてこんな情報があればいいのにと思うことはありますか。」との質問(自由記述)に対し、「身近な先輩からの情報を聞く機会を増やしてほしい」や「会社の雰囲気や上下関係が知りたい」などの「会社の生の情報」をもとめる意見が多くみられ、会社情報の発信ツールであるホームページについては、「入社1~2年目の社員の声があったらよいと思う」「職場の写真や作業中の写真があるといいと思う」「実際の作業風景の動画があるといいと思う」など、企業が発信している情報と生徒がほしい情報のギャップが感じられる結果となっている。

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