経済動向

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2020年9月号 No.521

BIM/CIMの原則化を23年度に2年前倒し

新型コロナウイルスの感染拡大によって建設業でも働き方改革が求められ始めている。その強力な武器がBIM/CIMだ。国土交通省は直轄事業でのBIM/CIM利用の原則化を2023年度に前倒しした。建設業のデジタル化は、もはや大手建設会社だけの問題ではなくなりつつある。

新型コロナウイルスの感染者数がじわじわと増加してきた時点でこの原稿を執筆している。東京では感染者数200人前後の日が続いている状況だ。コロナ騒ぎでテレワークをはじめとした働き方の改革が強く求められるようになり、建設分野でも3密に注意した取り組みが求められるようになっている。

そもそも、建設産業では近年、IT(情報技術)を活用して工事や維持管理などの生産性を高めようという動きが強まっている。深刻な人手不足が予想されているからだ。コロナウイルスの騒動は、この動きを加速する方向に作用しつつある。

建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の大きな原動力の1つは、BIM/CIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング/コンストラクション・インフォメーション・モデリング)だ。BIM/CIMは、単に3次元で設計モデルを構築する道具ではない。モデル内に材料や点検結果といった属性情報を加えることによって、建設生産・維持管理のプロセスを効率的なものに改善する力を秘めている。

国土交通省は2019年、このBIM/CIMを25年度までに原則として全直轄事業で適用する方針を打ち出した。そして20年には、新型コロナウイルスの問題も踏まえてこの前倒しを決断。原則化の時期を23年度に改めた。小規模な工事を除いて、BIM/CIMを23年度までに導入するという目標だ。

裾野の広い建設産業において、たった5年ほどでBIM/CIMを浸透させていくという当初の計画でも相当、挑戦的なスケジュールだ。それをさらに2年も前倒しするのだから、そのインパクトは計り知れない。

BIM/CIMの普及に向け、国交省は着々と環境整備を進めている。20年3月には、BIM/CIM活用工事における監督・検査マニュアルを作成した。3次元モデルに現場の映像を重ねて表示するAR(拡張現実)技術を使い、遠隔で検査する手法などを示している。さらに同月には、発注者におけるBIM/CIM実施要領を取りまとめた。

20年度はBIM/CIMを扱える発注者の養成を図る。地方整備局ごとに教育体制を構築し、検査や維持管理などの業務プロセスに応じた利用方法を周知していく。

地方でもBIM/CIMの普及に向けた取り組みは進みつつある。茨城県では発注方式を工夫して、地元の建設コンサルタント会社が3次元モデルの作成に取り組めるような環境を構築している。「チャレンジいばらきⅠ型/Ⅱ型」と呼ぶ発注方式だ。

例えば、1万㎥以上の土工事などに適用する「チャレンジいばらきⅠ型」では、工事とは別に建設コンサルタント会社に3次元モデルの作成を依頼する。施工者との協議も求め、施工手順などを加味した設計ができるようにした。出来形や工程の管理に、そのモデルを活用する意図も込めた。

もはやデジタル改革は大手建設会社だけの話ではなくなってきた。地域の建設会社などでも導入に向けた準備が必要になってきている。

 

「発注者におけるBIM/CIM実施要領(案)」(資料:国土交通省)

 

このほか、小規模な工事を対象とした「チャレンジいばらきⅡ型」もある。こちらは、3次元データの作成を施工者で内製化するよう求める。ICT建機の使用は義務付けない。茨城県の資料を基に日経コンストラクションが作成 

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