経済動向

経済動向
2018年9月号 No.501

テレワークの現状と普及の課題

働き方改革の議論において、働き手のライフスタイルや生活環境などを踏まえた多様な働き方の一つとして、テレワークの推進が掲げられている。労働人口が減少する中、女性や高齢者の就労促進の観点からも、テレワークの普及促進は重要である。そこで今回は、テレワークの実施状況や、普及のための課題などについて解説する。

テレワークの普及は道半ば

働き方改革の国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ」が、7月23日から27日まで実施された。政府は、企業や官公庁に対して、2020年の東京オリンピックの開会式が行われる7月24日とその他の日の計2日以上のテレワーク実施を求めた。働き方改革の一層の推進とともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の交通混雑を緩和させる狙いがある。これは、2012年のロンドンオリンピック時のテレワーク普及の成功例に倣ってのことだ。
テレワークは、通勤時間の削減や業務の効率性上昇などを通じ、企業と働き手双方にメリットが及ぶ制度だ。しかし、テレワーク導入企業割合と雇用型テレワーカー(勤務先にテレワーク制度がありこの制度を利用している人)の割合を見ると、政府目標とは大きなかい離があり、企業におけるテレワーク導入は十分に進んでいないのが実情である(図1)

図1 テレワーク導入企業割合と雇用型テレワーカーの割合

普及促進には権利の確立も一案

みずほ総合研究所では、テレワークの経済効果を試算している。雇用型テレワーカーの政府目標が実現した場合で、増加したテレワーカーが通勤に掛けていた時間の2割強を労働に回すという前提で経済効果を試算すると、GDPの押し上げ効果は約4,300億円になる(図2)。なお、この2割強という数値は、国土交通省の調査に基づいている。女性や高齢者の労働参加や、個人とチームの生産性向上が進めば、経済効果はさらに大きくなる可能性がある。また、日英米のテレワーク導入比率を比較すると、日本の普及余地は大きいことがわかる(図3)

図2 テレワークによる通勤時間削減の効果

図3 日英米のテレワーク導入比率

日本におけるテレワークの普及には、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)の明確化や業務の見える化を通じた、働き方改革そのものが重要になる。また、テレワークを進めるドライバーとして、テレワークと言う働き方を選択できる権利を確立させることも、制度の定着に向けて重要だろう。こうした制度の拡充を通じ、女性や高齢者の労働参加が一層進むことが期待される。

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