経済動向

経済動向
2018年4月号 No.497

個人消費を下支えする訪日外国人客

2010年代に入り、訪日外国人客の増加が続いている。そしてそのインバウンド消費も、1人当たり消費額は伸び悩んでいるものの、総額では年間4兆円を超え、わが国の個人消費を下支えしているといえよう。今回は、この訪日外国人客とインバウンド消費の推移と見通しなどについて解説する。

2020年には4,000万人越えか

2017年の訪日外国人客数は、16年に比べ増勢がやや鈍化したとはいえ、前年比19.3%増の2,869万人と、5年連続で過去最高を更新した(図1)。現在のペースが維持されれば、20年の訪日外国人客数は、政府目標の4,000万人を超える計算になる。18年を展望すると、クルーズ船の寄港数やLCCなどの就航便数の増加が続くことや、世界経済が堅調に推移することで、訪日外国人客数の増加が続くと予想され、当社は3,300万人程度(前年15.0%増)になると予測している。さらに、20年の中期予測についても、4,517万人と試算しているが、リスク要因として、クルーズ船などの船舶の寄港数やLCCなどの航空便数といった供給要因と、最大の構成要素である中国人旅行者数の動向に留意が必要である。

図1 訪日外国人客数の推移

インバウンド消費が成長を支える

訪日外国人客数の増加により、17年のインバウンド消費額(観光庁「訪日外国人消費動向調査」ベース)は4兆円を突破し(図2)、前年比17.8%増と二桁の伸びになった。18年を展望すると、訪日外国人客数が増加する一方で、一人当たり支出額の伸びは小幅に留まると見込まれ、インバウンド消費額は5.1兆円前後(前年比16%増)になると予測する。一人あたり支出額の底上げにはサービス消費が鍵を握る。15年以降、訪日外国人客のなかでリピーター率が高まっていることもあり、日本での独自体験である「コト消費」の充実による、地方圏への訪問客拡大、サービス支出の大きい欧米豪諸国の誘致の強化などが重要になる。
なお、訪日外国人客が消費にもたらす影響をマクロ的に考えると、日本人一人当たり年間消費額約221万円(GDP上の国内家計最終消費支出を人口で割ったもの)に対し、インバウンドの一人当たり支出額は15.6万円で、日本人一人の消費額は訪日外国人客約14人分となる。12年から17年に増加した訪日外国人客数は約2,100万人であり、その消費に与える影響は、日本人が150万人増加(2,100万人÷14人=150万人)したに等しい経済効果になる。過去5年間の日本の人口減少は100万人程度であることを考えれば、アベノミクス5年間における訪日外国人客の増加は、日本の人口減少を十分に補う経済効果を発揮したと考えることもできる。
訪日外国人客の増加は、アベノミクスの最も重要な成長戦略の一つであり、そのためのインフラ対応や準備をどう行っていくかを考えていく必要がある。また、20年の東京オリンピック・パラリンピックは重要な目途といえ、そのタイミングに合わせた対応も重要な課題になる。

図2 インバウンド消費額の推移

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