経済動向

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2018年4月号 No.497

「フルハーネス」などで死者15%減

厚生労働省の労働政策審議会は、2018年度から2022年度までを計画期間とする「第13次労働災害防止計画」をまとめた。建設業に関しては、死亡災害の4割超を占めている墜落・転落災害の防止が目玉の1つだ。高所作業時における墜落防止用保護具を原則としてフルハーネス型とするなどの対策で、建設業での死亡災害を15%以上、減少させることを目指す。

厚生労働省の労働政策審議会(会長:樋口美雄・慶応義塾大学教授)は2月20日、「第13次労働災害防止計画」(13次防)をまとめ、加藤勝信厚生労働相に答申した(下図)。労働災害の防止に関して国や事業者、労働者らが重点的に取り組む内容を定めたもので、第1次の計画が策定されたのは1958年。13次防は2018~2022年度が計画期間となる。

図 第13次労働災害防止計画(13次防)の概要

2019年2月に改正安衛法を施行
高さ6.75m超での作業は原則フルハーネスに

建設業に関しては、労働災害による死亡者数を2022年までに2017年比で15%以上、減少させる目標を掲げた。目標達成に向けて重視したのが、建設業での死亡災害の4割超を占める墜落・転落災害の防止だ。
その一環として、厚生労働省の「墜落防止用の保護具の規制の在り方に関する検討会」(座長:豊澤康男・労働安全衛生総合研究所所長)が2017年6月にまとめた報告書を踏まえ、高所作業時における墜落防止用保護具は原則、「フルハーネス型」とすることを盛り込んだ。フルハーネス型は、肩や腰、ももなど身体の複数箇所をベルトで支持するタイプの保護具。建設業では、1本のベルトを胴回りに巻き付ける「胴ベルト型」が普及しているが、墜落時の衝撃による内臓の損傷や胸部の圧迫などの危険性が指摘されていた。
厚生労働省は、労働安全衛生法(安衛法)の施行令と規則などを改正するための政省令と告示の改正案を今年3月に公表。2022年1月以降、高さ6.75m超で作業する場合、全産業でフルハーネス型の製品の使用を原則化した。建設業に対しては、ガイドラインを作成してより基準を厳しくし、5mを超える高さでフルハーネス型の使用を求める。胴ベルト型については、一定の条件を満たした製品のみ使用を認める。
改正令などは今年4月に公布し、2019年2月に施行する。ただし、改正が実現すれば、従来型の安全帯を製造する企業への影響が大きくなることから、施行日から半年間の経過措置を講じる。施行日の2019年2月1日から7月31日までの経過期間に製造した従来型製品については、2021年末までの使用を認める。

過重労働による自殺を問題視
メンタルヘルス対策にも力を入れる

13次防では、過重労働による自殺が社会問題化していることを踏まえ、メンタルヘルス対策に力を入れているのも
特徴だ。
例えば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合を2016年の56.6%から80%以上に高める。さらに、
ストレスチェック結果の集団分析を活用して職場環境の改善を図っている事業所の割合も、2016年の37.1%から60%以上に引き上げる。
このほか、東京五輪の施設工事について、行政機関や発注機関などで構成する安全衛生対策協議会を通じて、長時間労働の削減も含めた労災防止対策の徹底を図る。解体工事における死亡災害の割合が高まっていることから、解体工事の安全対策も検討する。

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