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2021年3月 No.526

駆け出し教諭が日々の挑戦から気づいたものとは?奮闘を積み重ね、目指すは恩師のような教諭像

西を伊勢湾、東を三河湾に挟まれ、江戸時代には港湾都市として発展してきた愛知県半田市。風光明媚なこの地に、知多半島唯一の工業高校として半田工業高等学校は設立されました。昭和38年の設立以来親しまれてきましたが、令和3年に「愛知県立半田工科高等学校」と名称を変更。新たな一歩を踏み出す同校とともに、教諭として大きな飛躍を目指す土木科・加藤智先生にお話を伺いました。

生徒の「分からない」に寄り添いたい

教諭としてのキャリアは5年。「まだまだ駆け出しで、私自身が日々勉強を積み重ねています」という加藤先生が抱える目下の課題は、生徒たちの興味をどう授業に向けるかということだ。試行錯誤しながら自身にあった指導方法、授業スタイルを模索する中で、加藤先生が一番に大切にしていることは「生徒の視線で物事を考えること」だという。

「土木の授業では、中学校までに学んでこなかったようなことがたくさん出てきます。土木を専門に学び教諭になった私たちは、つい『知っていて当たり前』という視点でさまざまなことを捉えがちですが、生徒にとってははじめてのことばかり。例えば難しい計算問題を目の前にし、『分からない』という生徒の視点を忘れてはいけないと思っています。生徒たちにも、『ゼロからのスタートなのだから、分からなくて大丈夫だよ』と伝えることが大切だと思っています」

また、自身の工業高校時代の経験を振り返り、当時はどこが分からなかったのか、どのように説明をされて理解や納得を深めていったのかを思い出しながら、最初は解きやすい問題や課題からスタート。徐々に知識が必要な難易度の高いものへ移行するなど、解ける喜びや達成感を体験させ、「やればできる!」という自信を少しずつ積み重ねることで、授業ひいては土木への興味をかき立てたいという。

「授業では、毎回小テストを行っていますが、分からないところは教科書で調べたり、生徒同士で教え合ったりしながら解く時間を設けています。また、答え合わせのあとには、間違えた問題を見直す時間を必ず5分設けるようにしています。最初は『分からない』とそっぽを向いていた生徒も、生徒同士で教え合うと心を開くようで問題にきちんと向き合う姿勢を見せてくれます。見直しの時間に、『あ、分かった!』という声が聞こえてくるのが、一番うれしいことですね」

校内の注目を集め快感!

生徒の発案で平成30年度の課題研究は、「ナスカの地上絵」に挑戦。測量専用CADで座標を作成。グラウンドに座標を取り作業を進める様子は、校舎からもよく見えた。「ラインカーで線を引いていると、『あ、地上絵だ!』と校舎から声があがって。他の生徒の興味を引けたようで良かったです。実は…あとから見たら、地上絵の一部が欠けてて(笑)。それも思い出です」と加藤先生。最後はドローンで記念撮影を行った。

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