特集

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2018年12・2019年1月号 No.504

工業高校が行う中学生へ向けた魅力発信の取り組みについて

国勢調査報告によると、19歳以下の人口が減少し始めたのは昭和55年である。つまり30年以上前から少子化は始まっていた。公立高校の現状をみると、平成元年には580万人いた生徒数が平成28年には349万人と約4割減少している。学校数では平成元年の5,523校から平成28年の5,029校と約1割減だ(学校基本調査より)。また、高等学校の学科の設置状況では、普通科は平成2年の4,318学科から平成20年の4,025学科と約7%減少にとどまっているのに対し、専門学科は平成2年に3,026学科あったものが平成20年には2,249学科と約26%も減少している。少子化により高等学校の生徒数が減少する中、各都道府県では公立高等学校の再編整備が進められているが、普通科に比べて専門学科がその対象となる傾向が強いことがうかがえる。
本調査は、「工業高校の必要性、存続を図るために何かできないか」というお声をいただいたことをきっかけに実施した。「工業高校の魅力をどのように発信していくべきか」や「教育関係や地元の方々が学校や建設系学科を新設するために行った活動」等について意見をいただき、工業高校の先生方をはじめ関係者の活動を調査し、事例集としてまとめた。
平成30年度に実施した「工業高等学校の取組事例集 ~建設系学科の魅力発信と学科新設による魅力創出~」。本号では、工業高校が行う魅力発信の取り組みの具体的事例について紹介し、次号(2月号)では、新たな魅力を作り上げた「学科・選択コース新設事例」を紹介する。工業高校、専門学科の必要性を考える一助となれば幸いである。

本調査については、平成31年2月頃に報告書の配布並びに、本財団ホームページでの公開を予定しています。今回掲載した内容は、事務局で特徴的な取り組みを抽出して掲載いたしました。報告書では、取り組み事例などを学校ごとに紹介していますので、詳しくは報告書をご参照いただければ幸いです。
問い合わせ先 一般財団法人建設業振興基金 企画広報部
電話 03-5473-4584

調査の概要

(1)工業高校(建設・土木系)へのヒアリング
兵庫県2校、長崎県1校、鹿児島県1校、計4校の建築・土木系の教諭に対して、中学生に対して行うPR活動について、三重県1校、新潟県1校、計2校に関連する建設業協会等に対して、学科新設にかかる活動内容等のヒアリング調査を行った。

(2)高校生・工業高校(建設・土木系)教諭へのアンケート調査
ヒアリング調査を行った鹿児島、兵庫、神戸、長崎、新潟の5校の土木・建築科の3年生に協力をいただいた(回収:291件。うち土木151件、建築140件)。教諭へのアンケートは、全国高等学校土木教育研究会・全国高等学校建築教育連絡協議会の会員高校に協力をいただいた(回収:土木102件、建築142件)。

中学生に向けたPRの傾向

ポイント PR対象の拡大
中学生の進路選択においては、保護者や中学校の教諭、塾の講師などさまざまな大人の意見が、中学生の意思決定に大きな影響を与えている。しかし、工業高校ではどのような学びをし、学んだことが将来にどう役立っていくのか、どのような企業に就職しているのかなどその実態はあまり知られていない。この現状を踏まえると、保護者はもちろん中学生に関わるすべての大人を対象とした、工業高校の魅力PRの必要性が高まっているといえる。

課題作品 課題研究で作成した作品を駅等に寄贈し、その式典をメディアで発信。
部活動 部活動での好成績を理由に、志望する中学生も多い。
学外イベント(地域連動イベント) たとえば「土木の日」などに行われる地域イベントでの体験コーナーを生徒が担当するなどの活動は、ニュース性が高い。

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