FOCUS

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2026年6月号 No 579

“全力”の背中が導く、地域とつながるものづくり。高知工業高校・建築科が育む、社会に応援される力!

高知県立高知工業高等学校建築科 戸田 卓谷先生

日本一の森林率を誇り、古くからヒノキやスギの良材に恵まれてきた高知県。豊かな木の文化を活かした建築なども盛んに行われる地で、創立110年を超える歴史とともに多才な技術者・技能者を輩出してきたのが、高知県立高知工業高等学校です。今回は、社会と直結した実践的な学びを展開する同校建築科において17年にわたり教鞭を執り、“全力”の精神で生徒に寄り添い続けてきた戸田卓谷先生に、地域連携を通じた取り組みや、未来を担う生徒たちへの想いを伺いました。

※取材内容・所属は取材当時(2026年3月)のものです。

地域社会こそ
最高の学び舎

県内屈指の歴史と規模を誇る同校。建築科には、将来の建築士や大工などを志すものづくりへの熱意を持った生徒たちが集う。

「入学時の段階で“家を建てたい”“設計をしたい”などの明確な目標を持っている生徒が多いです。身内の方が建設関係の仕事に就いているケースも多く、幼い頃から働く背中を見て育ち、自然とこの道を志したという声も耳にします」。

建築科では2年次から、設計士や施工管理職を主眼に置く工業コースと、建築大工をはじめとした技能の習熟を目指すスペシャリストコースに分かれ、それぞれの専門性を深めていく。その学びの集大成となるのが、地域社会の課題解決に挑む課題研究だ。

「課題研究を通した地域貢献には非常に力を入れており、それに合わせて“自ら考え、主体的に行動できる人材”の育成を目指しています。ありがたいことに、伝統校としての実績を信頼していただき、行政や地域の方々から直接ものづくりのご相談をいただく機会も豊富です。公共の場や地域の方々に利用される建築物に携わることは、生徒にとって何よりの教育です。自分たちが作ったものが人目に触れ、実際に多くの人が利用する。そこには“決して失敗できない”という、プロフェッショナルに近い責任感が生まれます。図面上の学習だけでは得られない、実社会での責任の重みこそが、生徒を大人へと成長させてくれます」。

近年取り組んだプロジェクトは、いずれも本格的なものばかり。市民にとって憩いの広場である『エコ・パーク宇賀』での東屋の建設や、歴史ある神社の本殿改修、絵馬台の修復など、実社会のニーズに応える活動を展開している。

「『エコ・パーク宇賀』は年間約3万人もの様々な世代の方が利用する公園です。そこに、雨や日差しを防ぐ休憩所の設置希望が挙がり、高知市から本校への協力依頼があったことから東屋建設の取り組みがスタートしました。こちらは2年がかりのプロジェクトとなり、生徒にとって大きな学びとなりました。また、神社仏閣の改修では、独特な木材の継手や仕口など、教科書で学んでいる伝統技術を実際の現場で目にすることができました。技術的に難易度の高い案件では、外部講師として現役の大工さんやOBの方を招いて墨付けなどを教えていただく機会も設けており、本物の技術に触れることで生徒の目つきが変わります。現場では地域の方々から温かい声をかけていただくことも多く、世代を超えたコミュニケーション能力も自然と養われていきます。こうした実体験を通じて、次の工程をスムーズに進めるための“先を見て動く力”や、現場での“突発的な状況への対応力”が身についていきます」。

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