建設業バックオフィスDX・AI最前線

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2026年6月号 No 579

第3回 その「初手」が命運を分ける バックオフィスDXのスタートライン(その2)

株式会社大塚商会 業種SIプロモーション部(建設プロモーション) 浅賀竜哉

連載第2回では、バックオフィスDXを進める際の Case1 (失敗事例)を述べた。今回の Case2 では別観点からアプローチする事例を紹介していこう。


経営者から「我が社もそろそろDX化を検討しようじゃないか。各部署の代表で会議を始めてくれ。君が推進リーダーだ」と指示が飛ぶ。この状況下で、あなたはどのように進めていくか想像してほしい。実は、この「初手」の選択こそが、プロジェクトの成否を占う最大の転機となる。

Case2 経営者の「強い想い」がDXを成功に導く

  • 推進リーダー(あなた):「ツール選定の前に、各個人のルーティンワークを徹底的に洗い出そう」

1か月後、想定外の事実が見えてきた。

  • 積算部:「Aさんが週次会議の資料作成に2時間かけている。Aさんが休暇の日は他の人では作成できないらしい」
  • 工事部:「伝票管理が監督任せでバラバラ。完工後に赤字に気づくこともあるみたい」
  • 総務部:「ベテランに業務内容を確認しようとしても、『忙しいから後にして』と曖昧にされてしまう」
  • 参加メンバー:「そうそう、うちの部署も洗い出してくれないからヒアリングが進まないんだよ」と総務部の意見に賛同する。
  • 推進リーダー:「現状の可視化ができないならDXは失敗だ。社長に相談しよう」
  • 経営者:「わかった。私がDXのビジョンとロードマップを策定し、全社員へ協力するように発信しよう」

社長号令で進む業務精査、そこから見えてきた本質
  • 推進リーダー:「無駄な転記や特定の人しかできない業務がかなりあるね。一部分ではなく、部署間を繋ぐ理想の業務フローを作ろう。将来的に連携可能なプラットフォームを軸に据えれば、どこから着手しても安心だ」
  • 工事部:「職人からは、複数ツールへのログインはミスを招くから避けてほしいと要望がありました。操作の簡便さも選定基準にしましょう」

Case2 を総括する

このケースを成功に導いたターニングポイントは、以下の3点。

  • ◎急がば回れの「業務可視化」:ツール選定を後回しにし、個々のルーティンワークを徹底精査した。結果、○○さんしかできない作業(属人化)や報告の遅れといった「真の病巣」を特定し、的外れなIT投資を未然に防いだ。
  • ◎未来を見据えた「全体最適」:単発の改善に留めず、データが一気通貫で流れるプラットフォーム化を意識した。現場の要望を汲み取りつつ、持続可能な仕組みを構築した。
  • ◎経営層による「退路の遮断」:社長自らビジョンを宣言することで、DXを「逃げられない経営戦略」として周知。社員の協力体制を盤石なものにした。

誤解がないように補足するが、 Case1 の「ボトムアップ型、部分最適」を否定しているわけではない。私の経験上、 Case2 「トップダウン型、全体最適」の方が失敗しにくいという意味で捉えていただきたい。本件以外においても「木を見て森を見ず」にならないように進めていきたいものだ。


先日開催したDXセミナーで、「現場にも受講させたいが、(現場が動いていない)悪天候か閉所日でないと参加できない」という声を聞いた。弊社でも過去のセミナーをいつでも視聴できる体制を整備したところだ。こうした情報収集等サービスを、経営者だけでなく、現場や各部署も同じように参加・活用できるようにすることも、認識を共有するうえで有用だろう。

 

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