建設業バックオフィスDX・AI最前線
第1回 建設業バックオフィスDXの現状

担い手不足や働き方改革、経理・会計制度などの環境変化により、導入が注目されるDX。業務の効率化と生産性向上は、建設業においても喫緊の課題です。
このコーナーでは、毎号、建設業のバックオフィス業務にフォーカスしたDXについてご紹介していきます。
そもそも建設業DXとは何か
建設業のお客様から「DXを進めたいが、どこから手を付ければよいかわからない」と相談を受けることが増えている。ここ数年で「DX」という言葉だけが一人歩きし、各部署の要望に応じて個別に課題に応じたシステム(ソリューション)を導入した結果、かえって混乱が生じてしまったという声も多い。
インターネット上で情報を探しても抽象的な説明が多く、自社にどう当てはめればよいか理解しづらい。加えて、掲載される事例は現場施工に関する内容が中心で、バックオフィス改革に直接役立つ情報が少ないことも背景にあると感じている。
シンプルに考えると見えてくるもの
DXを語る際、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」といった言葉で説明されることが多いが、これらを直感的に理解できる方は少ないのではないだろうか。私もその一人である。
そもそも建設業DXの本来の目的とは、「会社全体の効率が上がり成長すること。バックオフィスも現場も協力会社も、皆の業務効率が上がること。仮にDXを進める上で新たな負担を生むようであれば、それは失敗である」と私は考えている。DX化の流れを紐解くと、まずアナログからデジタルへ移行することで個々の作業効率は大きく向上した。まず、「デジタイゼーション」(紙資料のPDF化や現場写真の電子保持など、情報の形式のデジタル化)、次に「デジタライゼーション」(勤怠管理や施工アプリなど、特定業務に特化した、プロセスの効率化)、そして今、その次のステップ「DX:デジタルトランスフォーメーション」(ビジネスモデルや組織・企業文化そのものの変革)をどう進めるかが、極めて重要なフェーズに来ている企業も多いのでないか。
重要なフェーズとは、冒頭でお話しした「各部署の要望に応じたソリューション選定で混乱した」のは何故なのか?が分かりやすい例になるだろう。釈迦に説法で恐縮だが、事務所・現場・協力会社がそれぞれ異なる場所で動き、一つのプロジェクトを進めていくという業界特有の構造がある。だからこそ三位一体の連携体制を築くことが、業務の質を大きく左右する。その起点として「バックオフィスのDX」から始めてみることを提案させていただく。
次回以降、この三位一体の体制づくりを阻む“原因”と、それを解消するための“具体的対策”について、もう少し掘り下げていこうと思う。業務プロセスのリアルに寄り添いながら、現実的なDXのあり方を皆様と共に考えていきたい。
さいごに…。
現場の言葉から学んだこと
ある設備業の経営者から、次のような言葉を頂いた。
「あなた方の業界は、横文字や新しい言葉で焦燥感をあおるが、現場の人間には響かないよ」
この言葉は、私にとって大きな教訓となった。
ある別荘建築の経営者のお話では、時間がかかろうが顧客の為に模型を製作、プレゼントしている。時代遅れだと言われることもしばしば。しかし私が顧客の立場であればこんなに嬉しいことはないだろう。このようなアナログ(効率が悪いこと)は大好きであるし、大切にしていくべき事象だと思う。
お客様の課題を整理し、新たな仕組み(システム等)を提案するシステムインテグレーターとして、お客様と商談する私は、この話をお聞きして以来「お客様と共に成長する」という姿勢を忘れずに、現場目線で理解いただけるDXを追求し続けている。

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