現場の安全12か月!

現場の安全12か月!
2026年2月号 No 575

2月 うまく伝えるしっかり守る 現場の安全指示

独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域特任研究員 高木元也

建設現場での安全活動は日々行われているものの、それでも起きてしまう事故。
本稿では、四季の移り変わり、年中行事、1年の流れなどを踏まえ、毎月のテーマを掲げ、重点的に安全活動を行うことを提案するものです。現場の安全活動をより活発化させましょう!

2月 うまく伝えるしっかり守る 現場の安全指示

令和6年1月2日、羽田空港で飛行機衝突事故が発生しました。この原因は、管制官と機長とのやりとりがうまくいかず、滑走路への進入許可が出ていないにもかかわらず、その中に立ち入り、そこに着陸してきた飛行機と衝突したいわゆるコミュニケーションエラーといわれています。建設業界でもこのことを教訓にしなければなりません。

建設現場でも、安全指示に代表される管理者と作業員とのコミュニケーションが、毎日、活発に行われています。

しかし、指示がうまく伝わらず、時に、労働災害が起こっています。人間同士のやりとりにはエラーがつきものです。伝え(聞き)間違いや伝え(聞き)忘れ、伝えた(聞いた)つもりなどの“エラー”は、いつでもどこでも起こります。

指示が伝わらないことが多い

実際に、現場所長らに「現場で安全指示が正確に伝わっていると思っていますか?」と聞いたところ、「いつも理解・納得している」と答えたのは、わずか8.5%。実に9割以上が、正確に伝わったのか不安に感じているという、驚きの結果がありました。

出所:筆者による調査(土木工事の現場所長、工事主任クラス対象のアンケート調査(回収数571))

なぜ、指示がうまく伝わらないのか?

指示がうまく伝わらない原因には、以下のようなものがあります。

どうすれば指示をうまく伝えられるか

現場の責任者は、(責任者であるという)強い自覚が必要です。例外は認めない、安易な妥協はしない。いつも毅然とした態度で臨みます。

また、的確な指示を出すためには、現場をみて、日々刻々と変わる現場の状況を常にしっかり把握しておくことが必要です。作業前に入念な打ち合わせを行い、みんなが具体的な作業の流れをイメージできる工夫も大切です。“実際の作業場所で指示”“相手が本当に理解しているかの確認”も有用で、事後確認も忘れずにすると安心です。

指示をしっかり守るためにはー指示を聞く者も安全意識を高める

指示を守ることは、「自分のための安全」です。安全の基本ルールを守るなど、現場の様々な安全活動にもつながります。もちろん、事故を起こすと多くの人に迷惑がかかります。自分だけは大丈夫という考えはやめ、多方面に責任が及ぶことを忘れない意識が求められます。

指示が十分に理解できなければどんどん質問し、思い込みや勘違いをなくすために指示内容の再確認も意識することが大切です。

指示をうまく伝え、しっかり守る現場をつくるには
[良好な人間関係の構築]が不可欠

みんなが仲間であるという意識を浸透させ、現場全体のよい雰囲気づくりが大切です。多業種の職人が働く建設現場では、特に重要です。そのためには、常日頃のあいさつ、朝礼時、休憩時、昼食時などで会話に花を咲かせます。

高木 元也 (たかぎ もとや)
独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域特任研究員 博士(工学)
名古屋工業大学卒。総合建設会社にて施工管理(本四架橋、シンガポール地下鉄等)等を経て現職。現在、建設業労働災害防止協会「建設業における高年齢就労者の労働災害防止対策のあり方検討委員会」委員長等就任。
[主な著作等]NHKクローズアップ現代+(あなたはいつまで働きますか?~多発するシニアの労災他)、小冊子「現場のみんなで取り組む外国人労働者の災害対策・安全教育」(清文社)他。

 

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