働き方改革への最終チェック

働き方改革への最終チェック
2023年10月号 No.552

定着率向上への取組②

取組事例

きっかけ きっかけは「技能実習生」

技能実習生は週休2日を取得しているにもかかわらず、日本人作業員は土曜日も働いていることに矛盾を感じました。その後「働き方改革セミナー」に参加をしたことをきっかけに、社内の体制を整えていかないと今後は採用も難しくなってきてしまうのではないかという危機感から、社内の体制を整備することをはじめました。

 

就業規則の作成

自分達だけでは、どこから手をつけていいかわからないため、専門家に入ってもらい、就業規則の作成をしてもらいました。就業規則作成においては、今まであいまいであった有給休暇の取得ルール、試用期間、慶弔休暇、休職等について決定していきました。また、就業規則には労働条件以外にも社内のルールである服務規律というものがあることを知り、日常、従業員に伝えていることを改めて文書化していきました。さらに今後の新規採用のために「週休2日制」を導入することを決定しました。

 

ルールの見える化

従業員に就業規則の内容を理解してもらうために、就業規則の簡易版でもある「ワークルールブック」を作成し、労働時間の考え方、勤怠の取扱い、有給休暇の取得方法等社内でのルールを具体的に落とし込んだものを配布しました。さらに理解度を深めるために、専門家に説明会を実施してもらいました。普段、労働環境に関する話をすることがなかったため、それぞれが日常疑問に思っていること等を話すことができ、有意義な時間になりました。

ワークルールブック(抜粋)

 

日給月払から月給制へ

現場作業員は日給月払制のため、出勤した日数に対して1日の単価を支払っており、仮に土曜日に出勤をしても同じ単価で計算をしていました。しかしながら技能実習生は週休2日制であるため、土曜日に出勤の場合は割増賃金を支払っているという矛盾を感じ、日本人の作業員に対しても同様にしていかないと不公平になってしまうこと、また、今後「週休2日制」にすることを決定していたため、休日が増えると同時に月給制の導入を決定しました。そして、現場作業員達に理解してもらうため、月給制にした場合と日給月払いで支払った場合のシミュレーションをし、個別に理解をしてもらうことができました。

 

社内コミュニケーション

日常の業務ではそれぞれの役割があり、社内でなかなかコミュニケーションをとる時間がなかったことから、ボウリング大会を実施しました。普段あまり話をしない技能実習生ともそれぞれが話をすることができました。技能実習生達も社員とのコミュニケーションがとれたことで、仕事においてもやりやすくなったように感じます。

 

今後の課題

今回、ルールの見える化と日給月払制から月給制への変更をすることができました。今後は、評価基準を作成し、給与の見える化についても検討していきたいと思っています。

まとめ
定着率の向上には「見える化」がキーワードです。まずは安心して働くことが出来る環境づくりのために、ルールの見える化、給与の見える化からスタートしていくことが重要です。そして労働環境が整い、人が定着をしたら、次は「教育」です。働き方改革とは「早帰り運動」ではなく「生産性向上」が目的なのです。個々のスキルを上げてもらい、利益がでたら従業員へ還元をしていくという好循環をまわしていくことが重要なのです。働き方改革は、担い手確保の通過点にすぎません。このチャンスの時期に1つ1つの課題に取り組んでいきましょう。

 

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