RELATIONSHIP

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2022年2月 No.535

確かな技と信頼が重なり、生まれる一枚。工場から現場を支える「瓦」づくりのエキスパート。

確かな技と信頼が重なり、生まれる一枚。
工場から現場を支える「瓦」づくりのエキスパート。

屋根の寸法・形状にあわせて事前に工場で瓦を裁断し、施工現場へと持ち込む「プレカット」。現場での作業負担や環境負荷の軽減にも寄与するこのプレカット瓦に取り組むのが、株式会社 マツザワ瓦店だ。そのモノづくりの要とも言えるプレカット工場で活躍する3人に話をうかがった。

 

プレカット工場を取り仕切る工場長・大岩さんは積算業務を担い、ハウスメーカーなどの図面を基に割付図の作成や発注業務をこなすほか、各作業員の割り振りなども行う頼りになるリーダーだ。

大岩さん:瓦は遠目に見ると均一な様にも見えますが、屋根材により一枚一枚に微妙な差異があります。また建物ごとの屋根の寸法・形状や勾配などにより、お客さまから求められる瓦も様々。私たちの仕事は、そうした異なる屋根材・異なる要望に的確に応える正確な瓦づくりです。

そんな大岩さんの下で瓦づくりに邁進するのは、プレカットオペレーターの山口さんと川瀬さん。屋根材となる一枚の板から正確に裁断し、美しい瓦を生み出していく様子は見事というほかない。

山口さん:カットをする際に特に気をつけているのは力加減です。屋根材は種類も様々ですが、むやみに力をかけると割れてしまうため、いかに適切な力加減で裁断するかが重要。また屋根材を無駄なく効率よく利用するためには、裁断前の配置なども大切です。現場により納める瓦も異なるので、常に図面を確認することを心がけています。

川瀬さん:私はコンクリート素材の瓦の裁断などを担当しています。切断面がきれいに仕上がっていない場合には、現場の職人さんから「もっときれいに仕上げてほしい」と声が挙がることもあるので、慣れていても油断せず、一枚一枚丁寧に手掛けていくことに気を配っています。

経験を積んでもなお真摯に仕事に向き合う二人に、大岩さんも大きな信頼と期待を寄せる。

大岩さん:裁断に用いるダイヤモンドカッターなどの機械も、使い方や力加減によって見えない部分に劣化が生じるもの。山口や川瀬のように裁断に慣れた人間でなければ、機械もすぐに傷んでしまい、質の良い瓦を生み出すことができません。そうした意味でも、経験豊富な二人の存在はありがたいですね。

工場勤務が主となる山口さんと川瀬さん。この仕事は、建設現場とは異なる醍醐味があるという。

山口さん:裁断・梱包し、仕上げた瓦が現場へ運ばれていくのを見ると、「やりきった」という達成感を覚えます。また瓦の取り付け作業は天候に左右されるところが大きく、工場から現場への納期が早まるケースもあります。そうした時はなおさら、納品に至るとホッとしますね(笑)

川瀬さん:工場へ直接受け取りに来られる方もいるので、自分たちの作った瓦が無事にお客さまに渡る瞬間を目にすることができます。納品できたことを実感すると、やはりうれしいですね。

その一方で、瓦の取り付け作業にも足を運び、いわば現場の職人と工場の職人とをつなぐ役割を担っている大岩さん。工場でひたむきに取り組む2人を見る眼差しも温かい。

大岩さん:うれしいのは、山口や川瀬たちが作ってくれた瓦を、現場の方が喜んでくれる時ですね。「あのカット、ぴったり現場に合ったよ」「作業がとても楽になったよ」といった声を職人さんたちが掛けてくれる瞬間は、こちらの喜びもひとしおです。

障がい者就労受け入れや環境対策など、地域・社会貢献にもいち早く取り組んできたマツザワ瓦店。その大きな原動力である3人に、今後の抱負・展望をたずねた。

大岩さん:今まで以上の仕事をしていくと同時に、積算や工場を任せる後継者の育成も図っていきたいです。コロナ禍で閉じていた海外とのやり取りも、今後は広げていきたいですね。

山口さん:いかに正確に、いかに素早く、効率よく仕事をしていくかを常に課題に置いています。怪我をせず、より良い形で仕事をしていきたいです。

川瀬さん:今は一日かけてやっている仕事を、半日でやれるように!(笑)それくらいの意気込みを持って、作業効率の改善・スピードアップを図っていきたいです。

 

真摯な姿勢と温かな雰囲気が溶け合う工場。ここから、人びとの暮らしを守る確かな瓦が生まれ続けている。

取材協力: 株式会社 マツザワ瓦店

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